国土交通省は「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策」(令和元年6月18日、関係閣僚会議)を受け、同年12月17日に発表を行った高齢運転者等による交通事故の削減に向けた車両安全対策等の措置方針に基づき、乗用車等の衝突被害軽減ブレーキに関する国際基準を導入し、世界に先駆けて新車を対象とした義務付けを行うことを発表した。
国土交通省自動車局では、自動車の安全基準等について、国際的な整合を図りつつ、順次、拡充・強化を進めている。今般、「乗用車等の衝突被害軽減制動制御装置に係る協定規則(第152号)」が、国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(WP29)において採択されたことに加え、「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策」に基づき、我が国においてもこの基準を導入するとともに、新車を対象とした義務付けを行う。
保安基準等の主な改正項目
専ら乗用の用に供する自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車並びに被牽引自動車を除く。)であって乗車定員10人未満のもの及び貨物の運送の用に供する自動車(三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車並びに被牽引自動車を除く。)であって車両総重量3.5トン以下のものには、協定規則第152号に規定された要件に適合した乗用車等の衝突被害軽減制動制御装置を備えなければならないこととする。
※ 安全運転サポート車に搭載されている衝突被害軽減ブレーキなどの運転支援装置はあくまで安全運転の支援であり、交通事故の防止や被害の軽減には役立つが機能には限界があり作動しない場合もある。機能を十分に理解した上で、過信せずに引き続き安全運転を心がけていくことが重要だ。
改正の背景
我が国は、自動車の安全基準等について国際的な整合性を図り自動車の安全性等を確保するため、国際連合の「車両並びに車両への取付け又は車両における使用が可能な装置及び部品に係る調和された技術上の国際連合の諸規則の採択並びにこれらの国際連合の諸規則に基づいて行われる認定の相互承認のための条件に関する協定」に平成10年に加入し、現在、当該協定に基づく規則(以下「協定規則」という。)について段階的に採用を進めているところである。
今般、国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(WP29)第178回会合において、「乗用車等の衝突被害軽減制動制御装置に係る協定規則(第152号)」が新たに採択された。これらを踏まえ、装置型式指定規則(平成10年運輸省令第66号)、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(平成14年国土交通省告示第619号。以下「細目告示」という。)等について、所要の改正を行うこととする。
改正の概要
・型式指定の対象となる特定装置の種類に、乗用車等の衝突被害軽減制動制御装置を追加する。
・協定規則第152号に基づき認定された乗用車等の衝突被害軽減制動制御装置は、型式指定を受けたものとみなすこととする。
特定装置としての乗用車等の衝突被害軽減制動制御装置の保安基準適合性についての審査を受けるに際して独立行政法人自動車技術総合機構に納付すべき手数料の額を、実費を勘案してそれぞれ定める。
専ら乗用の用に供する自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車並びに被牽引自動車を除く。)であって乗車定員10人未満のもの及び貨物の運送の用に供する自動車(三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車並びに被牽引自動車を除く。)であって車両総重量3.5トン以下のものには、協定規則第152号に規定された要件に適合した乗用車等の衝突被害軽減制動制御装置を備えなければならないこととするほか、所要の改正を行う。
3の改正について、新型車は令和3年11月(輸入自動車は令和6年7月)から、継続生産
車は令和7年12月(輸入自動車は令和8年7月、貨物の運送の用に供する軽自動車は令和9年9月)から適用対象とするほか、所要の改正を行う。
上記のほか、関係告示について所要の改正を行う。