アナログ派自動車評論家・瀬在仁志(ヒトシ君)が助手の75(ナコ)とともに、話題の新車に乗ってオイシイモノを食べに行くという食いしん坊企画の第7弾。道中、感じたことや気がついたことを言いたい放題しつつ、最終的にはオイシイモノにありつくという企画。今回はMAZDAアゲイン。話題のCX-30に乗り込み、藤枝は朝ラーを目指します。
講師:瀨在仁志(Hitoshi SEZAI)
助手:生江凪子(Naco NAMAE)
アナログ派自動車評論家ヒトシ君と助手の75のドライブ記事も早7回目。回を重ねるごとに自由度が増してきておりますが、息が合っているからヨシとしましょう。さて、本日はMAZDA3セダン以来のマツダです。待ち合わせ場所も、マツダR&Dセンター横浜。広報車を玄関前に持ってきていただいている間に、少々予習など。
助手75:おはようございます、ヒトシ君。本日は話題のクロスオーバー、CX-30をお借りすることになってますよ。
ヒトシ君:CX-30、まだ乗ってなかったからちょうどよかった。これ、エンジンは例の「SKYACTIV-X」? MAZDA3のXは試乗できたんだけど、CX-30はまだなんだ。よかった。
助手75::いえ。CX-30のXは2020年1月発売だから、まだ乗れません(編集部註:取材は2019年)。今回は、ガソリン、SKYACTIV-G2.0、AWD、そしてなんと6速MT! あ、ちょうど取材車両がまいりました。さて、行きましょうか。
ヒトシ君:なかなかマニアックな仕様だねぇ。お値段はいかほどかな?
助手75::えーと。CX-30 20S PROACTIVE Touring Selection(AWD)で297万円ナリ。
ヒトシ君:なるほど。同じ仕様でMAZDA3ならいくら?
助手75::あのぉ、出発したいんですが……。えーと。MAZDA3のファストバック(FB)のSKYACTIV-G2.0だとAWDの設定はないの。しかも6MTの設定もないから直接比較はできないわね。なんでだろう、MAZDA3の方がスポーティだからマニュアル・トランスミッションを選ぶ人が多そうなのにね。
ヒトシ君:ふーん。でもMAZDA3とCX-30なら、CX-30の方が高いんだよね?
助手75::早く乗ろうよ。同じ仕様で比較できるのは……(価格表を見る)。
CX-30 20S PROACTIVE Touring Selection(FF/6AT):273万3500円
MAZDA 3 20S PROACTIVE Touring Selection(FF/6AT):263万6741円
つまり、価格差は約10万円ほどCX-30の方が高いってことですね。さ、行きますよ!
ヒトシ君:あっ! ちょうどMAZDA3があるじゃん。ちょっとパッケージングとか比較してみようよ。
助手75:あのね……今日は夕方5時までにクルマ返却しなきゃいけないのね。だから早く行きたいのね。
さっさと行きたいセッカチ助手75に対して、ヒトシ君は「うん、わかってるわかってる」とノンビリ。あれしてみよう、これどうかな、と呑気である。そんなわけで出発前に、R&Dセンター内にてMAZDA3とCX-30に座ってみました。比較してみましょう。
ひととおりの比較を終えて、いよいよ出発! の前に、恒例のジャンケン。2回目ともなると、マツダ広報のかたも慣れたもので、「あ、じゃんけんするんですよね!」と玄関前にクルマを停め置き、撮影をすることを理解してくださっている。ありがたい。非常にありがたい。
ヒトシ君:さっきMAZDA3とこのCX-30、続けて座ってもらったけど、どうだった?
助手75:CX-30の方が明るくて開放感がありますね。このブルーグレー? ボディカラーに合わせてポリメタルグレーというのかしら、の内装も素敵だし。すっかりMAZDA3のちょっと背の高い版かと思っていたら、内装もずいぶん違うんですね。
ヒトシ君:そうなんだよ。MAZDA3もCX-30もマツダの新しいプラットフォーム「スモール・アーキテクチャー」を使うから、てっきり「ちょっと背を高くしてクロスオーバーにした」んだと思ったら、ボディサイズも違うしホイールベースだって違うんだよ。
助手75:CX-30の方が大きい、ホイールベースも長いんですよね?
ヒトシ君:ノンノン。違うんだ。ホイールベースはMAZA3が2725mmなのに対してCX-30は2655mm。70mmもCX-30の方が短いの。全長もMAZDA3の4460mmに対して4395mmだから65mm短いんだ。違うのは全高ね。CX-30の方が100mm高い。でも1540mmだから機械式の立体駐車場に入るサイズだね。
助手75:へぇ~。室内はCX-30のほうが広い感じがするのにね。どれどれ(とカタログを眺めはじめる)あ、ほんとだ。室内のスペースは
MAZDA3:室内長:1820×1490×1160mm
CX-30:室内長:1830×1490×1210mm
ってなってる。
ヒトシ君:うん。CX-30の方が乗員をアップライトに座らせるパッケージになっているんだね。シートもいいね。
助手75::乗り心地は悪くないわね。でもちょっとホァンホァンしない?
ヒトシ君:フェイフェイ
助手75::は?
ヒトシ君:ごめんごめん。ホァンホァンっていうから上野動物園のパンダのことかと思って、ツガイのフェイフェイって言ってみた。へへへ。
助手75::……あぁ。フェイフェイね(スマホで検索)。ホァンホァンが上野動物園に来たのは1980年って書いてあるわよ。古いわね。フッ。わかんないわよ。
ヒトシ君:またぁ〜。ま、話を戻そう。ホァンホァンするのは、CX-30の方がタイヤが大きくてエアボリュームがあるから。
ヒトシ君:ね、外径で40mmも違うんだ。当然エアボリュームも違うってわけ。
助手75:ふむ。エンジンはどう? この前乗ったMAZDA3セダンも同じエンジンだったわよね。
ヒトシ君:うん。同じエンジンだから、156ps/199Nmは2.0ℓ直4ガソリンNAエンジンとしては平均的。タイヤ外径もこっちの方が大きいし、最終減速比も高くなる。でも、いつも言っているけど、SKYACTIV-G2.0はもっとレスポンスがいいといいのにね。
CX-30はいつもの渋滞を切り抜け、新東名高速へ。開通当初は路面が素晴らしかった新東名もだいぶ荒れてきた。
ヒトシ君:えーと100km/h巡航が2300rpm。120km/h巡航が2800rpm。
助手75:もぐもぐ。
空腹に耐えかねて、いつものお菓子を食べる助手75。毎度「明治ガルボ(ホワイト)」がカバンの中に5袋ほど入っている。どんだけ好きなんだ。
ヒトシ君:助手〜っ、ちゃんとメモっておいてよ。大事なこと言っているんだから。
助手75:あ〜、ふぉいふぉい(はいはい)。MAZDA3セダンのFFのときは6ATだったから100km/h巡航時は2000rpmでしたよ。だから今回の方が巡航時のエンジン回転数は高いわね。でもさぁ……。
ふたりで:これ、すっごく静かじゃない?
ヒトシ君:被った。うん。これNV性能がすっごく高いね。風切音もロードノイズも気にならない。ほんとに120km/h出てるのかっていうくらい静か。こりゃいいね。
ヒトシ君:そろそろ高速降りるよ。
助手75:ここはどこ? フジエダ? ナゼ、藤枝?
ヒトシ君:静岡県藤枝には、「朝ラー」っていう素晴らしい文化があるんだよ。知ってる?「朝ラー」
助手75:しらんがな。え? まさか朝からラーメンを食べるってこと?
ヒトシ君:正解。今回はその発祥の店「マルナカ」へ行こうと思っているんだ。
助手75:え〜。まぁ、もうお昼ですがね。おや、マルナカは13:15に閉まっちゃうらしいですよ。携帯によると。また3のときみたく、行かれないんじゃないのぉ〜?
ヒトシ君:え? 本当に? いそげ!
お店は大きな看板もなく、なんだか昔ながらの銭湯っぽい建物。初めて行くとちょっとわかりづらいですが、駐車場はお店前と道を挟んで反対にもあるので、どちら方向から来ても安心。そして閉店前だというのに駐車場にはたくさんのクルマが。
助手75:人気店なんですねぇ。閉店直前なのに、まだクルマが来るよ、ほら。
ヒトシ君:そうそう。なんといったって、老舗だからね。ホラ、駐車場見てないで早く! 入るよ入るよ!
走行前と逆転。ラーメンになるとせっかちになるヒトシ君。店内に入るとほぼ満席。だし醤油のいい香りが漂っている。ラーメン屋さん、というよりはお蕎麦やさんに来た感じだ。入り口付近で食券を購入(あまりに寒い日だったため、暖かい「中華そば」をチョイス)し、ギリギリ空いていた4人席へ陣取る。
助手75:いや〜、思いの外ヒットでしたね。冷がそれはそれは美味しかった。
ヒトシ君:初めて来たけど、よかったね! あそこで諦めずに冷にいったことが功を奏したよ。
なんの功だかわからないが、とにかく大満足なふたり。クルマに乗り込むと、開口一番75が「次はななやさんです!」。「ななやさん」と言われてもよくわからないが、どうやらお約束のデザートである。
助手75:静岡と言えばお茶、お茶と言えばななやさんのジェラート!
ヒトシ君:入るかな〜、お腹いっぱいだけど、デザート入るかな〜。
などと言いつつ、すぐ近くの「静岡抹茶スイーツファクトリー ななや」さんへ。店内に入るとたくさんの商品の奥のジェラートケースが目に入る。抹茶専門店なだけあって、ジェラートのラインアップはほぼお茶系。
抹茶の濃さが7段階となっていて、色も黄緑色(1番)から濃い緑(7番)となっている。一番濃いのはもう抹茶(粉)そのものの色! 例によって75の自腹なため、「ここは私が!」と一括注文。
お茶屋さんから出てきて駐車場に停まるCX-30の美しさにしばし見惚れるふたり。このあとはどうやら日本平を目指すという。
ヒトシ君:それにしてもCX-30、飛び抜けてかっこいいね。ぶつけちゃたらちゃんと板金できるのかな?
助手75:流れるようなボディラインの完全復活は厳しいかも……。ぶつけられないクルマ……。あ、今度はワタシ、後席に乗ってみます。
ヒトシ君:後席の乗り心地はどう?
助手75:MAZDA3の穴蔵感ありありの後席と比べるまでもなく明るいです。やっぱり開放感があるほうがいいですよ。乗り心地も悪くない。というか、いいです。間違いなく良くなってる! これ、手を入れていますよね。失礼ながらMAZDA3の後席は乗らされて仕方なく感が強いですが、これは突き上げ感もないし、とてもいい。
ヒトシ君:それにしても最近のマツダはインテリアの質感が高くなったねぇ。昔はもっとガサツだったのにねぇ、誰かさんみたいにねぇ。
助手75:はぁ(語尾がこれでもかというくらい上がっている)なんか言いました? でも、シートの感じといい、ダッシュボードの仕立てといい、このクラスではピカイチですね。ところで、このこのクルマ、AWDなんですけど、それはどうですか?
ヒトシ君:フルタイムAWDっていってもまぁカップリングのオンデマンド式だからね。やっぱりセンターデフ付きのフルタイムAWDとは違うね。あんまり「ヨンク感」はない。でもだからといって、「FF感」もない。そこはいいよね。さあ、ちょっとした上りのワインディングだゼ!
助手75:だゼ! って……。CX-30だとワインディングを攻めたりはしないんじゃない?
ヒトシ君:うーん。やっぱりエンジンに力がない……。
助手75:でも、ちょっと背が高いから乗り降りがしやすいのはいいですよ。
ヒトシ君:そうなんだよね。前にも書いたけど、MAZDA3のFBが昔のスペシャルティ的なポジションで、セダンがフォーマル、で、このCX-30がど真ん中のハッチバックや昔のセダン的なポジションだと思うわけ。ってなると、CX-30の2.0ℓガソリンでMTが選べるのに、MAZDA3のFBでは選べないっていうのが、ちょっと解せないけどね。でも、CX-30、よくできていると思うよ。
助手75:ヒトシ君はMAZDA3のSKYACTIV-Xエンジン搭載モデルも乗ったんでしょ? CX-30のX搭載モデルも1月には発売になるけど、比べたらどう?
ヒトシ君:SKYACTIV-Xはとてもいいよ。別のクルマになる。CX-30のSKYACTIV-X搭載モデルも今度乗って比べてみようよ。乗る前に、結論出すのは危険だからね。
助手75:でも、純粋にどっちが運転しやすそうかっていったら、MAZDA3よりCX-30よね。アイポイントが高くてボディが小さい、おまけに見た目もかっこいいっていうのはいいわね。
ヒトシ君:あああ、75に運転させるの忘れてた。もう時間がない!
助手75:嗚呼、残念ねぇ〜。でももう給油して返却しないと間に合わないわよ! ま、じつはMTに自信がないから、気づかれないようにしてたんだけどね。
ヒトシ君:燃費はどうだったかな? このクルマのモード燃費は
WLTCモード:15.6km/ℓ
市街地モード12.5km/ℓ
郊外モード15.9km/ℓ
高速道路モード17.2km/ℓ
か。今日は燃費のこと考えずにずいぶんエンジン回したからなぁ。
助手75:コホン。発表します。主に高速道路を走ったときが、渋滞ありで14.3km/ℓ、トータル400km走って総合で13.3km/ℓでした。
ヒトシ君:あれ、この前のMAZDA3セダン(FF/6AT)のときはどうだったっけ?
助手75:ワインディングを気持ちよく走って11.8km/ℓだったから、今回はAWDなワリに、まぁまぁでしたね。まぁ、MAZDA3セダンのときは伊豆スカイラインとかを気持ちよく走りましたからね。
ヒトシ君:そうか。どっちも400km走ったんだね。同じエンジンだし。ファミリーカーとして買うならCX-30かな。乗り降りしやすいし、室内も明るい。ひとりで乗ることが多いならMAZDA3FB。やっぱりあのカッコ良さには魅力があるよ。オーセンティックは佇まいがいいなら、セダン。セダンも美しいからね。75はどう?
助手75:自分で運転するならMAZDA3FB、迎えにきてもらうならMAZDA3セダンかな。あ、CX-30もGOODですが、ワタクシの場合はドライバーズシートかナビゲーターシートしか座らないので、ファミリーカーとしての資質はあんまりカンケーないのです。ファミリー利用には俄然オススメしたいですね。あ、実家のCX-5、買い替え検討させようかな。
【本日のルート情報】
マツダ横浜R&Dセンター(神奈川区守屋町)第一京浜〜首都高。横浜新道~保土ケ谷バイパス〜新東名・藤枝岡部IC。無事に食事とデザートを堪能した後は、焼津ICから東名に乗って日本平久能山スマートインターチェンジで降りて日本平を登る。復路は日本平久能山スマートインターチェンジから東名をゆるゆると走ってマツダ横浜R&Dセンターへ。
【本日のオイシイモノ情報】
中華そばの老舗「マルナカ」
静岡県藤枝市志太3丁目1-24
054-646-1516
08:30~13:20
日曜/祝日/第2・4土曜日定休(その他臨時休業有)
ななや 藤枝店・自家製菓子工房
静岡県藤枝市内瀬戸141-1
054-646-7783
10:00~18:00
水曜定休(祝日の場合は営業)
※営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください
マツダCX-30 20S PROACTIVE Touring Selection(4WD/6MT)
全長×全幅×全高:4395mm×1795mm×1540mm
ホイールベース:2655mm
車重:1440kg
サスペンション:
F|マクファーソンストラット式
R|トーションビーム式
タイヤ&ホイール:215/55R18/18×7Jインチアルミホイール
駆動方式:4WD
エンジン形式:水冷直列4気筒DOHC16バルブ
型式:PE-VPS型(SKYACTIV-G 2.0)
最小回転半径:5.3m
排気量:1997cc
ボア×ストローク:83.5×91.2mm
圧縮比:13.0
最高出力:156ps(115kW)/6000rpm
最大トルク:199Nm/4000rpm
燃料供給:筒内燃料直接噴射(DI)
燃料:レギュラー
燃料タンク:48ℓ
燃費:
WLTCモード燃費 15.6km/ℓ
市街地モード 12.5km/ℓ
郊外モード 15.9km/ℓ
高速道路モード 17.2km/ℓ
トランスミッション:6速MT
車両本体価格:297万円
※試乗車はオプション込み305万6880円
apparel(75)|coat:TATRAS/tops:ENFOLD/pants:DR DENIM/shoes:Salvatore Ferragamo/bag:State of Escape