2019年、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)は日本市場における販売台数で輸入車部門の4位に躍進! その立役者は、FCAジャパン全体の売り上げの54%を占めるジープだ。詳細は後述するが、驚くべきは日本でのジープの新車購入者の平均年齢が、なんと39歳であるということ。国産を含めた全体の平均が53歳であることを考えると、これは尋常ならざる数字である。
X5やカイエンを抑えたグランドチェロキーにも注目
FCAジャパンの2019年の合計販売台数は、フィアット、アバルト、アルファロメオ、ジープの4ブランドを合わせて2万4666台に達し、過去最高記録を4年連続で更新した。19年は前年比で9.9%の増加となり、日本の自動車市場全体がマイナス3%、輸入車全体がマイナス2%だったなか、驚異的な成長を続けている。
その立役者となったのは、FCA全体の54%にあたる1万3360台を販売したジープだ。ジープ・ブランドだけで見れば対前年比16.3%の成長だ。18年にフルモデルチェンジを受けたラングラーは、5000台に迫る4873台という過去最高の販売台数を記録。ジープの成功の象徴的存在となった。
ラングラー以外で目立つのはグランドチェロキーの奮闘で、下記のランキングの通り、フルサイズSUVセグメントで断トツのトップに輝いたのだ。
1位:ジープ・グランドチェロキー(1743台)
2位:BMW X5(1389台)
3位:メルセデス・ベンツGLE(1358台)
4位:ポルシェ・カイエン(1041台)
5位:ボルボXC90(1018台)
輸入車のブランドごとのSUV販売台数をまとめると、2018年と19年のトップ3は下記のように推移している。
2018年
1位:メルセデス・ベンツ
2位:BMW
3位:ジープ
2019年
1位:メルセデス・ベンツ
2位:ジープ
3位:BMW
驚かされるのは、ジープの新車購入者の平均年齢だ。日本市場全体の平均が53歳であるのに対し、なんと39歳だというのだ! ラングラーに至っては38歳だ!
車格やパフォーマンスの割りには割安感があるのがジープ、そしてアメリカンブランド全体の魅力とは言え、それでもラングラーはけっして廉価なモデルというわけではない。にもかかわらずこれだけ顧客層が若いのは驚異的だ。
「ジープの明確なキャラクターが若いカスタマーのみなさんにご理解いただけた」とFCAジャパンは分析する。
もちろんウェブサイトやSNSなど、若い世代をターゲットとしたマーケティングも精力的に展開している。
「平均的なユーザーが一生に購入するクルマは12台くらいでしょう」
なるべく若い段階でジープのファンになってもらえれば、その後も“限りある新車購入の機会”に選択肢に入り続けられるという論理である。なるほど理にかなっている。
ジープは現在、全国に展開している80店舗のうち、57店舗に新CIを導入している。そして2020年内には、これを75店舗まで増やす計画だ。
クルマそのものの商品的魅力、インポーターの本気度、そして若いオーナーたちの拡散力や発信力が相乗効果を生めば、ジープ人気がますます加速していく可能性は高い。