1月10日より千葉県の幕張メッセで開幕した「東京オートサロン2020」のトムスブースでは、同社が作り上げた新たなコンプリートカー「トムス・スープラ」と「トムス・センチュリー」を世界初公開! 気になるその中身と、両者に込められた想いとは?
PHOTO&REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)
「トムス・スープラ」で真っ先に目を引くのはやはり、スーパーGT GT500マシンと同じ全幅1950mm(ノーマル比+85mm)まで拡大されたワイドボディだろう。また、フロント・サイド・リヤにはドライカーボン製のディフューザーを、さらにバックドア後端にはGTウィングを装着し、ダウンフォースを大幅に増強。フロントマスクにはバンパーガーニッシュも与えることで、新型スープラの空力ボディをより一層先鋭化させている。
インテリアにも随所にカーボンがあしらわれ、レーシーな雰囲気が強まっているが、オプション設定のカーボン製フルバケットシートを装着すれば、見た目だけではなくドライビングもよりストイックに楽しめることだろう。
そして3.0L直6ターボエンジンは、ノーマルよりも大きな風量を稼ぐハイフロータービンと、インタークーラーの性能を向上させるヒートエクスチェンジャー、エキゾーストシステム「トムス・バレル」に交換し、ECUをチューニング。ノーマルの340ps/500Nmから460ps/578.6Nmへと大幅にパワー・トルクアップを果たしている。
そのパワートレインに合わせ、もちろんシャシー性能も強化されている。ボディは専用ブレースで補強され、車内より前後独立で減衰力を調整できるサスペンションキット「アドヴォクス」はダンパーのアウターチューブやピストンを含む細部まで見直し。さらにフロントブレーキはブレーキシステムは、キャリパーがブレンボ製6ピストン、ローターが380mm径のものに交換された。
このトムス・スープラは、レースエンジンのスペシャリスト・前田光彦氏がパワー部門、セナとプロストの片腕と呼ばれた寺本浩之氏がサスペンション部門を担当し、トヨタテストドライバーの頂点であるトップガンの一人だった西島光義氏がテストを行い開発される。販売価格は税別1423万円となる予定だ。
こうしたパフォーマンス指向のトムス・スープラに対し、「トムス・センチュリー」は、質感のさらなる向上がチューニングメニューの主眼に位置付けられている。
中でもインテリアは、最高級のナッパレザーをはじめとする素材と無数のカラー、ステッチの組み合わせにより、乗る人の好みに合わせたカスタマイズを可能とする「フルオーダーメイドシート」となっているのが最大の特徴。国内のシート職人が手作業で一台一台仕上げるというその室内は、ノーマルのセンチュリーとは一線を画した豪奢なものとなりそうだ。
今後トムスのコンプリートカーが他のトヨタ車やレクサス車にも展開され、トムスがまさにBMWにとってのアルピナのような存在へと昇華するのか。その命運はこの2台が握っていると言っても過言ではないだろう。