2019年11月14日、日産自動車は、タイ王国の首都バンコクにて、アジア・オセアニア地域で販売されるコンパクト4ドアセダン「アルメーラ」を発表した。日本では聞きなれない車種だが、実は、タイ日産の販売実績ナンバー2となるベストセラーカーなのだ。バンコクモーターエキスポの会場に展示された新型アルメーラを紹介しよう。
REPORT&PHOTO●大音安弘(OHTO Yasuhiro)
日産の小型セダン、アルメーラがフルモデルチェンジ in THAI LAND
バンコクモーターエキスポの日産ブースの主役は、発売したばかりの日産アルメーラである。主役扱いなのは、新型ということもあるが、実は、タイ日産の販売台数の約25%を占める人気車なのだ。それだけに、フルモデルチェンジにも力が入っている。エクステリアは、日産のファミリーマスクであるVモーショングリルを取り入れたフロントマスクを始め、シャープなブーメラン型ヘッドラインプとテールランプ、キックアップCピラー、フローティングルーフなどを取り入れたモダンなスタイルに仕上げられている。セダンとなると、オーソドックスなスタイルに陥りがちだが、前後のオーバーハングとキャビンのラインが綺麗な弧を描いており、そのシルエットは、なかなか美しい。
ボディサイズは、全長4495mm×全幅1740mm×全高1460mm。ホイールベースは、2620mmと取り回しに優れたサイズとなっている。
プラットフォームは、先代同様に、日産ノート同様の「Vプラットフォーム」を採用しているが、より広いキャビンスペースを実現するべく、改良が施されている。このため、インテリアも完全に刷新されており、競合クラスの中では最高レベルの広さを誇る。車内空間の広がりを演出する水平基調のダッシュボードの中央には、オーディオユニットが備わるが、上級グレードなら、Apple CarPlayなどに対応した8インチのタッチスクリーン式インフォメーションディスプレイが標準に。またメーターパネルも2種類が設定されており、通常のアナログ2眼式に加え、上位グレードでは、アナログ式スピードメーターと多彩な表示が可能な液晶ディスプレイを組み合わせたタイプを採用している。そのデザインは、日本のリーフのメーターパネルと同じ仕様のようだ。
パワーユニットは、新たにダウンサイズとなる1.0L3気筒DOHCターボエンジンを全車搭載。これにCVTが組み合わされる。最高出力100ps/5000rpm、最大トルク152Nm/2400~4000rpmと実用的なスペックを備える。ターボエンジン採用の理由は、タイのエコカープログラムに適用しながらも、燃費だけでなく、性能も犠牲にしないことが狙いだという。また車両の周囲に配置された4台のカメラのよる先進運転支援機能も採用されており、インテリジェント FCW(前方衝突予測警報)、インテリジェント エマージェンシーブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)、ブラインドスポットワーニング(後側方車両検知警報)、リヤクロストラフィックアラート(後退時車両検知警報)、インテリジェント アラウンドビューモニターなどの日常での運転をサポートする多彩な機能を実現している。
価格は、499,000バーツ~639,000バーツ(約181万円~約232万円※)となっている。日本では、ラティオの導入が終了後、日産の小型セダンは、シルフィが受け持っているが、そろそろ次期型を期待したいところだ。しかしながら、アルメーラは、排気量とボディサイズからも分かるように、1クラス下のモデルとなる。幅広いニーズに応えるノートの存在もあるため、日本導入の可能性は、きわめて低いといえそうだ。
※1バーツ=3.63円換算