年末の恒例となったMFi特別編集「モータースポーツのテクノロジー2019-2020」が12月27日に発売される。今回もWECやF1など、モータースポーツに関する最新テクノロジーが濃縮された1冊になっている。その著者である、世良耕太氏が、F1イタリアグランプリ取材時のこぼれ話をレポートしてくれた。
TEXT&PHOTO:世良耕太(Kota SERA)
毎年夏を迎えると、「さて、今年はどうしたものか」と考え始めます。『モータースポーツのテクノロジー』のネタです。種々雑多な企画を立てて各方面にあたりますが、打診した企画が100%通ることはまずありません。最新版『2019-2020』のメイン企画については別項で触れることにして、タイミングよく取材できた企画がありました。
マレリ(Marelli)です。カレンダーを眺めてみると、IAA(フランクフルト・モーターショー)のプレスデーが9月10日で、その2日前にF1イタリアGPの決勝レースが行なわれることが確認できました。先にイタリアに行ってF1を取材し、その足でドイツに移動すると効率的と考えました。と同時に、せっかくイタリアGPに行くならスペシャルな取材がしたいなと思ったわけです。
日本側でモータースポーツの窓口をしている技術者の方が「協力できるかもしれませんよ」とおっしゃってくれていたのを思い出し、コンタクトを取ったのが8月上旬でした。そこからイタリア本社の現地広報とやりとりをしていただき、現地でアテンドしていただく担当者の連絡先をメールで受け取って、イタリアに飛びました。
生のF1を間近で眺めるのも、現地取材の目的のひとつです。
サーキット(ミラノ近郊のモンツァにあります)のピットレーンでF1マシンを眺め倒していたら、「電話ちょうだい」と現地広報担当者からメールが入っていました。さっそく電話し、ちゃんと現地に着いていて、取材の意思があることを伝えます。翌日の再会を約束し、段取り完了。日本から本当にやって来るのかどうか、不安だったに違いありません。
取材会場は、パドック(F1チームのトランスポーターやホスピタリティが並んでいます)の裏手にありました。元はガソリンスタンド? と思わせるレトロな建物をホスピタリティに仕立てています。
招待された人だけしか中に入ることはできません。が、こぢんまりした庭(?)にF1マシンが展示してあることもあり、フェンスのまわりには常に人だかりがありました。
取材に応じてくれたのは、マレリのモータースポーツ部門を率いる、リカルド・デ・フィリッピ氏でした。「写真撮らせてください」とお願いしたら、見本にとしてお渡しした『モータースポーツのテクノロジー 2018-2019』を掲げてポーズをとってくれました。ものすごくフレンドリーな人物です。
話をうかがってみると、F1参戦時代にTMG(Toyota Motorsport GmbH)にいたことがわかりました。「日本はベストマーケットのひとつ。エンジンや車両メーカーととても強い関係を結んでいる。日本に行くのがいつも楽しみだ」と語ってくれました。アウディとBMWのモータースポーツのボスもTMG出身ですし、またここにも、という感じです。
ホスピタリティはプレゼンテーションのブースを兼ねており、マレリが量産およびモータースポーツの分野で展開している製品の一部が展示されていました。
モータースポーツ関連ではECUに、高圧燃料噴射系に、データロガーに、テレメトリーにと、バラエティに富んでいます。詳しくは誌面でご確認ください。