2020年2月10日に発売されるトヨタ・ヤリス(現行ヴィッツの後継)は、1.0ℓ直3+CVTと1.5ℓ直3+Direct Shift-CVT、同じく1.5ℓ直3+THS IIハイブリッドの3つのパワートレーンが設定される。36.0km/ℓという驚異的な燃費性能を誇るのは1.5ℓ直3+THS IIハイブリッドである。この燃費性能を支える新開発M15A型とはどんなエンジンか?
トヨタの最新モジュラーエンジンの3気筒版
ヴィッツ改めヤリス(Yaris)となる新型は世界トップレベルの36.0km/ℓという燃費性能を実現している。もちろんハイブリッドモデルの燃費だが、これはJC08ではなく、WLTCモード燃費だというから驚きだ。
HYBRID X(FF)のモード燃費は次の通りだ。
WLTCモード:36.0km/ℓ
市街地モード:37.5km/ℓ
郊外モード:40.2km/ℓ
高速道路モード:33.4km/ℓ
ハイブリッドではない(コンベ版)Xは
WLTCモード:21.6km/ℓ
市街地モード:16.1km/ℓ
郊外モード:22.9km/ℓ
高速道路モード:24.3km/ℓ
コンベ版も、最新の軽自動車レベルだ。
たとえば、日産デイズSの燃費は
WLTCモード:21.2km/ℓ
市街地モード:18.6km/ℓ
郊外モード:22.3km/ℓ
高速道路モード:21.7km/ℓ
この好燃費を支えるのは、新開発の1.5ℓダイナミックフォースエンジン」である。
このエンジン、型式はM15A型でハイブリッド版がM15A-FXE、コンベ版がM15A-FKSという型式になる。
M15Aは、いわゆる「TNGAエンジン」である。ボア×ストロークは80.5mm×97.6mmで、S/B比は1.212とかなりのロングストロークになっている。ダイナミックフォースエンジンシリーズの2.0ℓ直4版であるM20A型(こちらもFXEとFKSがある)とボア×ストロークは同じ。つまり、M20Aの1気筒落として3気筒にしたものがM15A型である。
ダイナミックフォースエンジンは、タンブル流を強化することで急速燃焼の促進と最大熱効率の向上を目的とし、吸気ポートのストレート配置、ロングストローク、ポート噴射/直噴の併用などが共通項として挙げられる。
ハイブリッド版のFXEがポート噴射、コンベ版のFKS版が直噴になる。
ヤリス搭載のM15A型の圧縮比は未公表だが、M20A型のハイブリッド版(FXE)が14.0、コンベ版(FKS)が13.0だから、おそらくM15A型も同じと考えていいのではないかと推測できる。FXE型はもちろんアトキンソンサイクル(トヨタはミラーサイクルと呼ぶ)だ。旧1.5ℓ直4(1NZ-FXE)よりも熱効率は2%改善したという。またトヨタの発表によれば熱効率は40%を超えたという。
エンジンの効率を表すひとつの数値としてBMEPというものがある。正味平均有効圧力で単位はbarである。
これを新型に当てはめると
新型ヤリス
M15A-FKS(コンベ版)が12.2
M15A-FXE(ハイブリッド版)が10.12
現行ヴィッツ
1NZ-FE(コンベ版)が11.6
1NZ-FXE(ハイブリッド版)が9.3
だから、やはり新型の効率の高さがBMEPからもわかる。
エンジン形式:1.5ℓ直列3気筒DOHC
エンジン型式:M15A-FXE
排気量:1490cc
ボア×ストローク:80.5mm×97.6mm
圧縮比:
最高出力:91ps(67kW)/5500rpm
最大トルク:120Nm/3800-4800rpm
燃料噴射:PFI(ポート噴射)
エンジン形式:1.5ℓ直列3気筒DOHC
エンジン型式:M15A-FKS
排気量:1490cc
ボア×ストローク:80.5mm×97.6mm
圧縮比:
最高出力:120ps(88kW)/6600rpm
最大トルク:145Nm/4800-5200rpm
燃料噴射:DI(筒内燃料直接噴射)