1981年(昭和56年)、ゼロハン初の水冷2ストロークエンジンを搭載した「ヤマハ RZ50」が誕生。1985年(昭和60年)、ビキニカウルを装備したⅡ型が登場後、RZ50は生産終了となったが……。1998年(平成10年)、前後17インチスポークホイールや丸形ヘッドライト、レトロなイメージの外装類を身にまとい、見事に復活した。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
PHOTO●月刊モト・チャンプより
レーサーレプリカのTZR50R等とは一線を画す、レトロなネイキッドスタイルを採用
RZ50の細部をチェック!
モトクロスマシン「YZ80」のエンジンをベースにした、TZM50Rと同一の、極めてスポーティーなパワーユニットを搭載(4KJ)。キャブレターは、街乗りでも扱いやすいVMΦ18をチョイス。また、優れた吸気効率を誇るクランク室リードバルブ方式により、鋭いレスポンスと抜けの良い吹き上がりを実現(※注1)。
排気系には、迫力ある極太大容量マフラーを採用し、高い排気効率を獲得。エンジン回転数に応じて、最適な点火タイミングを実現する「マイコン制御デジタル点火方式」や、エンジン性能を十分に引き出して走りを楽しめる「リターン式6速ミッション」を採用。
ラジエターは十分な放熱量を確保した大容量タイプながら、TZR50Rよりも薄型設計とし、いっそうの軽量化を達成している。
ピストンの上下運動による一次振動を打ち消す「一軸式バランサー」を装備して、エンジンの振動を大幅に低減。集中して走りを楽しむための快適性を実現。
エンジン始動にはセルスターターを採用。スピーディーでスムーズなエンジン始動性を獲得済み。
※注1:TZM50R用エンジン(4KJ)に、TZR50R用ピストン(4EU)を組み合わせてパワーアップする定番チューンもあり(ミニバイクレースのSP12クラスでは規則違反となる改造だった)。低回転から高回転まで大幅なパワーアップが可能となり、最大で0.6馬力の出力向上が見られた(月刊モト・チャンプ誌の実測値)。
テレスコピックタイプのフロントフォークには、Φ27mmインナーチューブを装備。リアのモノクロスサスペンションは、ビルシュタインタイプクッションを採用し、優れた緩衝性とコーナリング時などのコシの強さを両立。
フロントブレーキには、異径2ポットキャリパーを装備した、ディスク径Φ220mmの油圧式ディスクブレーキを採用。リアにはΦ110mmのドラムブレーキを導入。
エンジンのパワーを鋭い走りに結び付けていくには、強靭なフレームが必要。RZ50は剛性の高い、「セミダブルクレードルフレーム」を採用。エンジンの優れたレスポンスを活かしたシャープな走りと、優れたコントロール性を獲得。
レトロな雰囲気が漂う17インチのスポークホイールは、乗車フィーリングにおいても独特のしなやかさを感じさせてくれるのがポイント。タイヤはフロント70/100-17、リア80/90-17のサイズを採用。
ストレートに近いバータイプのハンドルに手を乗せた瞬間から、スポーツ走行へと気持ちが高まってくるような、緩やかに前傾したライディングポジション。スポーティーかつマシンコントロールの行いやすさに加え、長時間走行でも疲労の少ない、無理のない姿勢を実現している。
大容量10Lのガソリンタンクは、往年のレーサーをイメージさせるロングタイプ。エアプレーンタイプのフューエルキャップも装備。
シートロックを解除してシートを取り外すと、カウル内には小物入れスペースあり。
RZ50 復活後の全モデル紹介
レトロな外観を活かしたRZ50カスタムに注目!
RZ50は「2ストロークエンジン」「カウルレス」のため、パワーウエイトレシオもGOOD!
1位 RZ50 乾燥重量:80kg 最高出力:7.2ps PWR:11.111kg/ps
2位 TZR50R 乾燥重量:84kg 最高出力:7.2ps PWR:11.666kg/ps
3位 NS-1 乾燥重量:92kg 最高出力:7.2ps PWR:12.777kg/ps
4位 ドリーム50 乾燥重量:81kg 最高出力:5.6ps PWR:14.464kg/ps
5位 YB-1 乾燥重量:75kg 最高出力:4.6ps PWR:16.304kg/ps
全長×全幅×全高:1805mm×615mm×970mm
ホイールベース:1215mm
最低地上高:135mm
シート高:745mm
乾燥重量:80kg
エンジン:水冷2ストローク単気筒
排気量:49cc
吸気形式:クランクケースリードバルブ
ボア×ストローク:40mm×39.7mm
圧縮比:7.5
最高出力7.2ps/10,000rpm
最大トルク:0.63kgf・m/7500rpm
燃料供給方式:キャブレター
燃料供給装置形式:VM18SS
燃料タンク容量:10L
エンジン始動方式:セルフスターター式
点火装置:CDI
クラッチ形式:湿式多板
変速機形式:リターン式6段変速
1次減速比:3.578
2次減速比:4.083
変速比:
1速 3.250/2速 2.125/3速 1.549/4速 1.226/5速 1.039/6速 0.922
チェーンサイズ:428
フレーム型式:セミダブルクレードル
キャスター角:27°
トレール量:90mm
ブレーキ形式(前):油圧式ディスク
ブレーキ形式(後):機械式リーディングトレーリング
懸架方式(前):テレスコピックフォーク
懸架方式(後):スイングアーム式
タイヤ(前):70/100-17 チューブタイヤ
タイヤ(後):80/90-17 チューブタイヤ
当時の価格:24万9000円