「世界一のクルマをつくる」そのためには今までとはまったく違った発想が必要だ。そうした考えから生まれた「SKYACTIV TECHNOLOGY」は車両構造、エンジン、トランスミッション、ボディ、シャシーと、各部に独自思想に基づいた技術が投入され、個々のユニットを統合的に制御することで、「人馬一体」の走行性能を実現する。ここからは、CX-30に投入されたマツダのオリジナリティ溢れるメカニズムを紹介する。
図版解説●安藤 眞(ANDO Makoto)/編集部
※本稿は2019年11月発売の「マツダCX-30のすべて」に掲載されたものを転載したものです。
大き過ぎず小さ過ぎない、絶妙なサイズ感を実現
大型化されたアームレスト
CX-5と同等の余裕あるカップルディスタンス
スタイリッシュなデザインながら頭上空間も確保
歩行姿勢に近いS字の姿勢
振動の伝達経路を的確に制御
楽な姿勢を提供する工夫
自然な関節の角度で快適な着座姿勢を提供
グローバルサイズのベビーカーにも対応
中型スーツケースふたつを余裕を持って搭載可能
荷室トリムの工夫で より使いやすく
筋力の負担を少なく重い荷物の乗せ降ろしができる高さ設定
作動音にも配慮したパワーリフトゲート
軽量・高剛性な安全ボディを構築
新世代マツダ車に採用される環状骨格
各部に施される空力処理
ボディ各部には空力処理が施されている。フロントバンパー下部にはスパッツが装着されるほか、空気の取り入れ口があり、ホイールハウス内側の開口と貫通。レーシングカーに見られる乱流抑制と同じ手法だ。ボディ下面もほぼフラットな状態に仕上げられている。
独自発想の「減衰節」で静粛性を向上
金属で出来たボディは、振動して音を伝達しやすい。補強して剛性を高めただけでは、固有振動数を高めることはできても、振動のエネルギーそのものを減らすことはできない。そこで、骨格を補強するために入れている隔壁の未溶接面に、従来のものより減衰性の高い接着剤を塗布し、その内部損失を利用して振動エネルギーを熱エネルギーに変える「減衰節」を考案。静粛性を高めると同時に、工程上、スポット溶接できなかった部分を接着することで、剛性も向上させている。パネルを接合するフランジ面にも高減衰性接着剤を塗布し同様の効果を得ている。
高効率で走りと燃費を両立する
〈SKYACTIV-G 2.0〉
エンジン型式:PE-VPS
排気量(㏄):1997
種類・気筒数:直列4気筒直噴
弁機構:DOHC16バルブ
ボア×ストローク(㎜):83.5×91.2
圧縮比:13.0
最高出力(kW[㎰]/rpm):115[156]/6000
最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):199[20.3]/4000
使用燃料:レギュラー
WLTCモード燃費(㎞/ℓ):14.8~16.2
実用燃費と環境性能を追求しつつ力強さと静粛性を獲得
〈SKYACTIV-D 1.8〉
エンジン型式:S8-DPTS
排気量(㏄):1756
種類・気筒数:直列4気筒ディーゼル直噴ターボ
弁機構:DOHC16バルブ
ボア×ストローク(㎜): 79.0×89.6
圧縮比14.8
最高出力(kW[㎰]/rpm):85[116]/4000
最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):270[27.5]/1600~2600
使用燃料:軽油
WLTCモード燃費(㎞/ℓ[2WD/4WD]):19.2/18.4
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世界初の燃焼技術を投入したSKYACTIV-Xエンジン
量産ガソリンエンジンとしては世界で初めて、予混合圧縮着火燃焼(HCCI)を実現したSKYACTIV-X 。ディーゼルのような純粋な圧縮着火ではなく、火花点火による筒内圧の上昇を利用するため、マツダSPCCI(SParkControlledCompression Ignition)と称している。 日本向けにはレギュラーガソリンの使用もできるようにするため、圧縮比を16.3から15.0にまで下げている。燃料系配管の位置から、インジェクターはボアセンターにあるとことが分かる。手前に見えているのが、ルーツブロワー式の過給器。出力向上というより、吸気量とEGR量のバランス制御に使用しているのではないか。
〈SKYACTIV-X(MAZDA3欧州仕様)〉
排気量(㏄):1998
圧縮比:16.3
最高出力(kW[㎰]/rpm):132[180]/6000
最大トルク(Nm/rpm):224/3000
思いのままの走りを支える新技術
路面状況に合わせて「i-ACTIV AWD」が駆動を最適制御
フロント:マクファーソンストラット式サスペンション リヤ:トーションビーム式サスペンション
新たな乗り味を決定づけるタイヤ開発
振動対策が凝らされたヒンジ構造
入力をピークでなく時間軸で制御する新世代の乗り心地
クルマとつながるマツダコネクティッドサービス
万一の時に心強い緊急通報機能
運転手の状態を見守るドライバーモニタリング
スマートフォンで遠隔操作と確認が可能
スマホの専用アプリ「MyMazda」を使用することで、遠隔地から燃料残量やドアの施錠ハザードランプの消し忘れなどクルマの状態が確認できるほか、施錠や消灯操作も可能。ナビの目的地設定なども行なえる。
■機能項目
コンディションモニター(クルマの健康状態を確認できる)/バーグラアラーム(クルマの状態を確認できる)/カーファインダー(クルマの異常を知らせてくれる)/リモートモニター(駐車位置を確認できる)/うっかり通知(ドアロックを教えてくれる)/リモートコントロール(離れた場所からクルマの機能を操作できる)/目的地送信(スマートフォン経由で簡単に行き先をナビ設定できる)
カメラとレーダーで高速道路の走行を支援
「クルージング&トラフィックサポート」追従走行機能とステアリングアシスト機能により、先行車との車間距離を一定に保ちつつ、車線を検知している場合は車線沿った走行をアシスト。車線検知できない場合は先行車の軌跡に沿ってアシストする。
見えない方向からのクルマをお知らせ
対向&先行車を眩惑せずに視界を確保