FF車ではそのパッケージングゆえ、そして発進時のトラクション確保の必要性などで、前軸重を60%前後にすることが多い。トヨタ最新の設計技術基盤TNGAから生まれたGA-Cプラットフォームでも前後重量配分はこの近辺に収まっているが、前後の配分に加えて「低重心」も重要だった。
GA-Cプラットフォーム開発を担当した、トヨタ自動車Mid-size Vehicle Company MS製品企画 プラットフォーム開発グループ 主査の本多義行氏にお話を伺った。このプラットフォームでは、「低重心」にも徹底的にこだわって開発が進められたという。
同時に刷新されたTNGAパワートレーンは、エンジンセンターや重心高、デフセンター位置などを最適化し、エンジン搭載位置もわずかながら車室側に近づけている。同じ前後重量配分60対40でも、プラットフォームの素性はその他の部分で少なくない変化が生じるということだ。
また、あまり注目されない部位ではあるが、車体左右の重量バランスや、各グレード、オプションなどで異なってくる装備品の重量の影響も軽視できないという。こうした重量差はある程度はシミュレーションで詰めていくこともできるが、開発中は人間の感覚に委ねることも多いという。「トヨタでは『目隠しで乗ってみろ』と開発中によく言われる」と本多氏は語る。データをとっても差が出ないのに、人間にはわかるという部分があるという。
さらなる詳細は、11月15日発売のモーターファン・イラストレーテッドvol.158の巻頭特集「前後重量配分の真偽」でご覧いただきたい。