ベスパ・エレトリカを「それは電動スクーターではなく、私たちの現代性とこれからの時代の両方を象徴する最高の技術的内容を持つ芸術作品」と表現するピアッジオ。イタリアの技術の最も現代的なアイコンだとも。そのピアッジオが総力をあげて取り組む電動モビリティが、これまでのものよりも格段に進化を遂げてEICMAでの発表を迎えた。
TEXT●大家伝(OYA Den)
都市部での通勤使用で10年乗れる!?
まずエレトリカは、純粋な都市での使用のために生み出された電動モビリティである。オリジナルバージョンでは最高速度45km/hというスペックを備えていたが、今回のEICMA2019での発表モデルは70km/hにまで大幅なスペックアップを果たしている。ピアッジオによれば「さらにパワフルかつ静音性を高め、環境にも優しい」としている。
エレトリカはすべてのコンポーネント(パワーユニット、車両管理システム、バッテリーパック)の一般的な最適化によりスペックアップを実現し、モーターサイクルとして認定されたとのこと。ECOモードでは最高速度45km/hで、100km程度の移動が可能。そしてパワーモードでは70km/hで、最大70km程度を移動出来るそうだ。またバッテリーはオリジナルバージョンのサイズと重量を保持しつつ、より高い連続出力の提供が可能なように変更。これは電気モーターの制御ソフトウェアの改善によって実現している。
このパワーユニットからは3.6kWの連続出力と4kWのピーク出力を供給でき、200Nmを超えるトルクと組み合わせることで従来の50ccスクーターに劣らない加速と登坂力も実現。都市部での機敏で楽しい乗り心地の提供を可能とした。また高い静音性により、騒音の面でも環境に配慮したものとなっている。
「Elettrica」主要仕様諸元
全長×全幅×全高:1,870mm×735mm×ーーmm
シート高:790mm
軸間距離:1,350mm
車両重量:ーーkg
モーター:ブラシレスモーター×KERS(Kinetic Energy Recovery System/運動エネルギー回収システム)
パワー:3.6 kW(4kWピーク)
トルク:200N・m(ホイール)
バッテリー:4.2kWhリチウム電池、LG Chemセル、内蔵バッテリー充電器
バッテリー電圧:48V
バッテリー容量:86Ah
充電時間:4時間(220V)
フロントサスペンション:シングルアームフォーク(コイルスプリング×油圧式モノショックアブソーバー)
リアサスペンション:油圧モノショックアブソーバー
ホイールサイズ(前/後):アルミダイキャスト製3.00x12”/アルミダイキャスト製3,00x11”
タイヤサイズ(前/後):110/70-12/120/70-11
フロントブレーキ:φ200mm油圧式ディスク
リアブレーキ:φ140mm機械式ドラム