東京モーターショーで発表された新型スバル・レヴォーグ。SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)を採用した新型スポーツワゴンだ。このレヴォーグのセダン版が次期WRXのベースになるわけだが、どんなクルマになるか予想してみよう。
そもそもWRXはレヴォーグのセダン版である
スバルのハイパフォーマンスAWDスポーツカー、WRXはレヴォーグと同じく4代目インプレッサをベースにしている。4代目インプレッサのワゴンボディ版が現行レヴォーグ。そのレヴォーグのセダンボディ版が現行WRXである。
まずは、現行WRXと現行レヴォーグを重ね合わせてみよう。
同じプラットフォームで同じホイールベース(2650mm)だから、ボディ前半は完全に一致する。Aピラーの角度も、フロントオーバーハングも両車は同じだ。
現行レヴォーグ
ホイールベース:2650mm
全長×全幅×全高:4690×1780×1495mm
現行WRX
ホイールベース:2650mm
全長×全幅×全高:4595×1795×1475mm
違うのは車高とボディ後半部である。
パワートレーンはもちろん水平対向で
レヴォーグ:1.6ℓ直噴ターボ(FB16)/2.0ℓ直噴ターボ(FA20)
WRX S4:2.0ℓ直噴ターボ(FA20)
WRX STI:2.0ℓターボ(EJ20)
である。
これがWRXの基本的な成り立ちだ。
となると次期WRXは、当然東京モーターショーでお披露目された新型レヴォーグのセダン版になる。もちろん、プラットフォームはSGPを使う。レヴォーグのフルインナーフレーム構造もWRXは踏襲するだろう。
発表された新型レヴォーグの元ネタが2018年のジュネーブ・ショーで発表されたVIZIV TOURER CONCEPTであること、そしてそのコンセプトカーがいかにして新型レヴォーグ(プロトタイプというが、ほぼ量産型と同じだと思われる)になったか、についてはこちらの記事で分析した。
WRXの成り立ちを考えると、この新型レヴォーグのセダン版がどうなるか、を考えればいい。それを示唆したのが、2017年の東京モーターショーで発表されたVIZIV PERFORMANCE CONCEPTである。
このVIZIV PERFORMANCE CONCEPTのボディサイズは
全長×全幅×全高:4630×1950×1430mm ホイールベース:2730mmだった。
このVIZIV PERFORMANCE CONCEPTは、2018年の東京モーターショーでSITバージョンとも言えるVIZIV PERFORMANCE STI CONCEPTへ発展した。
次に、2018年3月のジュネーブ・ショーで、VIZIV TOURER CONCEPTが発表された。
このVIZIV TOURER CONCEPTのボディサイズは、全長×全幅×全高:4775mm×1930mm×1435mm ホイールベース:2730mmだった。
明確にVIZIV PERFORMANCE CONCEPTのワゴンボディという位置づけだ。
時間経過では
2017年10月 VIZIV PERFORMANCE CONCEPT
2018年3月 VIZIV TOURER CONCEPT
2019年10月 新型(次期)レヴォーグ
となる。
本来、順番で考えればレヴォーグの次期型の前にWRXの次期型が登場するのが自然である。ということは、もちろん次期WRXはすでにほぼ完成している、と考えた方がいい。
次期WRXのお披露目される時期はいつか?
となると、我々の目の前に登場してくれるタイミングはいつか?
もっとも早いタイミングは
2020年1月 東京オートサロン
である。日本のファンにとっては、日本で発表してほしい、という想いもあるのは当然だ。
次は
2020年3月 ジュネーブ・モーターショー
2020年4月 ニューヨーク・モーターショー
2020年4月 北京モーターショー
2020年6月 デトロイト・モーターショー
となる。
スバルにとってもっとも重要な市場は言うまでもなく北米。となると、4月のニューヨーク・モーターショーが最有力だと予想する。EJ20(北米ではEJ25)のファイナルモデルが発表されたところでもある。EJ型の最後の需要を見届けた来春に次期WRXが登場するだろう。
次期WRXのボディサイズは?
そのボディサイズだが、当サイトでは
新型レヴォーグ予想サイズ
全長×全幅×全高:2710mm×1800mm×1480mm ホイールベース:2670mm
とした。
となると
新型WRXのサイズは
全長×全幅×全高: 4630mm×1840mm×1450mm ホイールベース:2670mm
と予想する。
全長は、VIZIV PERFORMANCE CONCEPTの4630mmと同じ。ホイールベースは新型レヴォーグの予想サイズと同じ2670mm。全幅はコンセプトの1950mmというのは現実的ではないので、1840-1850mm)と予想する。
すべては2017年のVIZIV PERFORMANCE CONCEPTから始まっている。このVIZIV PERFORMANCE CONCEPTに次期WRXがどこまで受け継げるか、ということになるだろう。
可能性があるのは3つのユニット
それでは次期WRXのパワートレーン、とくにエンジンはどうなるだろう?
現行WRXは前述のとおり
WRX STI:EJ20型(北米では2.5ℓのEJ25)
WRX S4:FA20型
である。
新型レヴォーグは、新開発の1.8ℓの水平対向4気筒ターボエンジンを積むと発表されている。
となると次期WRXが搭載する可能性があるエンジンは次の通りだ。
1.8ℓ新型ターボ
2.0ℓFA20ターボ
2.4ℓFA24ターボ
の3つのユニットだ。
現行スバルWRX STI(EJ20型)のパワースペックは
308ps(227kW)/422Nm
現行スバルWRX S4(FA20型)のパワースペックは
300ps(221kW)/400Nm
WRX S4と現行レヴォーグの2.0GTのスペックは同じだ。
新型レヴォーグの新開発1.8ℓ水平対向4気筒ターボは、従来の1.6ℓターボ(170ps/250Nm)と2.0ℓターボ(300ps/400Nm)の両方を代替することになるから、ざっくりいって過給圧違いで200ps/300Nm(180ps/270Nmあたりかもしれない)と300ps/400Nmの2スペックを用意すればいいだろう。低出力版はリーン燃焼を使う燃費重視ユニット。300psはハイパワーユニットという位置づけだ。
となると、WRXはどうなるか?
WRX STIは、FA24型を搭載する、と予想する。理由は、スバルでもっとも新しいエンジンで、出力アップの余地が充分にあるからだ。
FA24型はアセントで初登場したあと、北米でデビューしたレガシィやアウトバックに搭載されている。
レガシィ版は、264ps/376Nmである。
このFA24を350ps/450NmくらいまでパワーアップすればWRX STIの新しい心臓にふさわしい。
スバルWRXの最大市場は、北米。日本国内に目を向けても、ライバルだった三菱ランサーエボリューションはもう存在しないし、ハイパワーAWDスポーツといえばWRXしかない状況だ。
ラリーをはじめとするモータースポーツユースもとくに考えなくいいとなれば、2.0ℓにこだわる必要はない。また日本の自動車税も2.0ℓ以上2.5ℓ以下は4万5000円(年額)から4万3500円へやや下がっている。
となれば、2.0ℓのFA20を高出力化するより、2.4ℓのFA24を使う方が理に適っているといえそうだ。