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ブルーイーネクサス:モーター+変速機で高効率をねらう【東京モーターショー2019】


大トルクを誇るモーターなら変速機は不要——と言われていたけど、いよいよ変速機を備えるユニットが本格化してきた。その理由と効果とは。


(W3202:アイシングループ)

 回転が上昇するとともにトルクが大きくなるエンジン、逆に回転直後に最大トルクを発揮し徐々に効率が落ちていくモーター。だからEVのパワートレインは減速機でトルク増幅するだけで変速機を備えない——というのがこれまでの主流だったが、モーターだって高効率をねらいたい。回転の上昇によって効率が落ちてくるなら多段変速を介すればいい。そのようなコンセプトで、ワイドレンジと高パフォーマンスを両立する電動パワートレインが増えてきた。




 アイシングループとデンソーのタッグによるブルーイーネクサスの電動パワートレインのラインアップにも2段変速機を備えるユニットが存在する。変速機を備えることでモーターの大型化を抑制するとともに、ワンスペックでラインアップを賄うことができるという期待もある。

 変速エレメントは遊星歯車機構。写真では、右方から変速のためのクラッチ機構、遊星歯車機構1列目、遊星歯車2列目、デフギヤへの出力ギヤという順序である。一般的に遊星歯車機構は単体で正転2段変速が可能だが、2列のタンデム配置としたのは大減速比を生み出す構造としたため。ユニークなのはクラッチ制御に油圧を用いていることで、電動パワートレインなのになぜ油圧?と訊いたら、アイシン・エィ・ダブリュの変速機制御は長年油圧に頼ってきたことによる信頼性を優先したからという。

手前に写るのが油圧ポンプ。奥のコントロールユニットからは水冷サーキットのための配管が備わる。

 インバータ/コンバータユニットをモーター直上に載せて一体化しているのも本品の特徴。つまり、バッテリーを用意すればクルマを動かす一式はこれで完了という仕組みだ。しかし高熱を帯びるモーターの上に制御ユニットを置くと熱が厳しそう。もちろん水冷式にして熱マネージメントには気を払っているものの、車両に載せたときの熱交換器容量やポンプ流量/水量などを含めどのように仕立てるかは課題のひとつだという。




 いっぽうで、ともに高周波を発するモーター/制御ユニットを一体化していることでNVH対策は楽になりそうだと思ったのだが、こちらもメリットデメリットが混在し、コントロールユニットが共振してしまい騒音源になることがあるなど、筐体設計には一工夫が求められることがうかがわれた。




 とはいうものの、モーター/制御ユニット一体化によって、ユニットに接続する高圧ケーブルはご覧のようにバッテリーからのプラス/マイナスの2本で済む。三層交流のための高圧ケーブルを長々と取り回ししなくていいのは大きなメリットだ。

こちらは変速機を介さないタイプで、モーターは同じく150kW。

その向かいに展示されていたハイブリッドトランスミッション新旧2態。左は2004年のフォード採用品、右は最新世代の8速AT+シングルモーターのPSA採用品。

2004年のハイブリッドトランスミッションは駆動用モーター/発電機がタンデム配置、その間に動力分割機構を備える。同軸配置だった歴代のTHSは最新世代でタンデム配置になったが、すでにこちらでは実現していたのがなんだかおもしろい。

8速AT+シングルモーターのハイブリッドユニットの底面はカットされていて、オイルポンプがのぞける。入力軸からチェーン駆動するメカニカルポンプ(奥側)に加えて、電動オイルポンプ(手前側)も備える構造なのが特長。PSAは本機をPHEVに搭載する関係で、EV走行時にも変速制御するための策である。

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