トヨタ・ヴィッツの後継モデル、「Yaris(ヤリス)」が世界初公開された。パワートレインからプラットフォームまですべて刷新! 安全装備も最新スペックのものが惜しみなく投入され、積極的に選びたいベーシックカーに仕立てられている。日本国内での正式発表は2019年12月中旬、発売は2020年2月中旬が予定されている。
PHOTO●中野幸次(NAKANO Koji)/トヨタ自動車
グローバル共通ネームでキャラクターを明確に
ヴィッツ改め、ヤリスという新しいネーミングを与えられたトヨタの最新Bセグメント・ハッチバックが、東京モーターショーに先行してワールドプレミアされた。
初代ヴィッツはスターレットの後継モデルとして1999年に登場。当初から海外市場ではヤリスを名乗っていた。このほど四代目に刷新されるとともに、ネーミングがグローバルで統一されることになったのだ。
今回のフルモデルチェンジはまさに完全刷新と呼べるもので、プラットフォームからパワートレインまで、そのほとんどが完全新設計となっている。
まずプラットフォームには、コンパクトカー向けTENGAの「GA-B」が初採用された。軽量、高剛性、低重心が特長で、従来型の同等グレードと比べて車両重量が50kg軽量化され(先代ヴィッツのハイブリッドXでは1100kgだったのが、新型ヤリスの同等グレードでは1050kg)、ねじり剛性を30%以上強化、重心を15mm下げている。
【ボディサイズ】
全長:3940mm
全幅:1695mm
全高:1500mm
ホイールベース:2550mm
※いずれも欧州参考値
パワートレインは1.5L直列3気筒ガソリン+ハイブリッド(新開発)、1.5Lガソリン直列3気筒(新開発)、そして1.0L直列3気筒の3種類がラインナップされる。
■1.5L直列3気筒ガソリン+ハイブリッド
燃料噴射方式:ポート噴射
トランスミッション:THSⅡ(電気式無段変速機)
駆動方式:2WD or 4WD
■1.5L直列3気筒ガソリン
燃料噴射方式:筒内直接噴射
トランスミッション:CVT or 6速MT
駆動方式:2WD or 4WD
■1.0L直列3気筒ガソリン
燃料噴射方式:ポート噴射
トランスミッション:CVT
駆動方式:2WD or 4WD
デザインは凝縮感とロー&ワイド感を強調したもの。「BOLD(大胆)」「BRISK(活発) 「BOOST(加速)」「 BEAUTY(美)」「BULLET(弾丸)」といったテーマをまとめて「B-Dash!(ビーダッシュ)」をキーワードとし、無駄を削ぎ落とした、今にも走り出しそうなスタイルを作り上げたという。
ちなみにビデオゲーム「マリオカート」で、Bボタンを押すとブーストがかかったように加速できる技を「Bダッシュ」と呼んでいたことも頭によぎりつつ命名した……とは担当デザイナー氏の弁。
ちなみにヤリスはBセグメントのなかでも最も短い部類に入るディメンション(全長は3940mm)で、昨今主流の伸びやかで流麗なシルエットを表現するには不利であることは間違いない。デザイナーの側から全長を伸ばしてくれという要望は出さなかったのか、との質問に対しては「むしろ凝縮感がヤリスの特徴なので、短い方が好都合です」と胸を張った。
また、最新スペックの予防安全機能を標準装備しているのもヤリスの特筆すべき点だ。
プリクラッシュセーフティ、レーントレーシングアシスト、レーダークルーズコントロール、オートマチックハイビーム、ロードアシストを一括した「トヨタセーフティセンス」は上級モデルを含めても最新最高のスペックで、とりわけ右折時に直進車や温暖中の歩行者を検知する「交差点シーン対応プリクラッシュセーフティ」はトヨタ初の採用だ。
これはソフトウェアの進化によって可能となったもので、ハード面にとくに変更はない。つまり、今後の他社種への転用も比較的容易ということだ。
そのほか、トヨタ初の高度駐車支援システム(ステアリング、アクセル、ブレーキまでを車両側が操作)するなど、ADASも充実。ヒエラルキーにとらわれず、ベーシックカーであるヤリスに最新で最良のものが惜しみなく投入されているのは、トヨタそのものが変わりつつあることを如実に表しているのかも知れない。
新型トヨタ・ヤリスは10月24日に開幕する東京モーターショーで一般公開され、日本国内での正式発表は2019年12月中旬、発売は2020年2月中旬とアナウンスされている。