各都道府県の物品調達&工事発注の入札告示を見ていたら、愛知県(警)が、この4月に県内に設置されているオービスの保守点検業務の入札を行っていたことが判明。もちろん、この手の入札はしょっちゅう行われているので別に珍しいことではないのだが、問題はその落札価格、5,000万円オーバーというのはちょっと尋常じゃない。なにしろこの金額は、新品の最新型オービスを一機買ってなお、お釣りがくるレベルだからなのだ。こいつは一体?
現在のオービス関連の競争入札は、ほぼ出来レース?
最新テクを駆使し、日夜、スピード違反者を取り締まっている、自動速度取締機。精密機械である以上、定期的な保守点検が必要であることは間違いない。事実、入札サイトを見ていると、かなりの頻度で、各都道府県(警)が、保守点検業務の入札を公募している。ここ半年の実績(落札日/落札価格)は次の通り。
・大阪府警 8/7 5,572,800円
・大阪府警 8/7 12,147,920円
・岐阜県警 6/17 1,203,360円
・千葉県警 6/14 10,717,920円
・静岡県警 5/31 9,251,630円
・岐阜県警 5/31 3,574,800円
・山梨県警 5/25 4,214,200円
・岐阜県警 4/19 19,974,900円
・愛知県警 4/1 50,511,720円
・北海道警 3/25 1,688,040円
といったところだ。
金額に差があるのは、機種の違いや、設置されているユニット数、保守点検作業の度合いなどによるものという推測が成り立つが、それにしても最高額は岐阜県警の2,000万円弱。愛知県警の5,000万円というのは、どう見ても異常だ。が、よく考えてみれば愛知県は、昨今のオービス撤去の嵐が吹き荒れる中、未だに県内に28カ所のオービスポイントを擁する、オービス大国。そのほとんどの26カ所が、今回の保守点検対象とみられる東京航空計器㈱製のLHシステムだ(残る2機のL型も同社製だが)。となると、一カ所のLHに5,000万円かけて保守点検を行うのではなく、数カ所を点検すると考えたほうがつじつまが合う。事実、現在は未確認だが、夏前あたりから国道23号線豊橋市に設置されているLHシステムに、「点検中」という看板が掲げられていたという情報を入手している。今後、愛知県内のLHシステムは順次、しばし休止状態となる可能性が高い。
余談だが、この入札の公示日は、今年の7/11。4/1にはすでに落札が決まっていたにも関わらず、なぜ、3か月後に公示したのか、というと、上の「随意契約結果表」にもあるとおり、今、日本で速度違反自動速度取締装置(オービス)を製造しているのは、東京航空計器㈱(TKK)だけ、つまり、ほぼ全数が撤去対象となっている三菱電機製のHシステム、そして耐用限界をとうに超えている旧型レーダー式オービス以外のオービスの保守点検は、TKKに委託するしかない。となると当然、入札を行う意味はないのだが、それでも公平を期すという建前の元、3か月後にカタチだけの公示を行ったというわけだ。
それにしても、機器代や設置費用のみならず、定期的な保守点検にかかる費用、そして撤去費用等、莫大な費用のすべてを、国民が負担しているということは紛れもない事実。それだけに、警察はオービスの速度計測の精度をきっちり国民に公開し、公明正大な取り締まりを心がけてほしい、切にそう願うばかりだ。