プジョーが放つ中型高級セダン508は、PSAグループが現状持てる自動車技術の集大成である。一方でコンサバティブな技術も見受けられるが、そこにはそうするべき「理由」があるということだ。
TEXT●三浦祥兒(MIURA Shoji)
PHOTO●中野幸次(NAKANO Koji)/PEUGEOT
※本記事は2019年9月発売の「プジョー508のすべて」に掲載されたものを転載したものです。
EMP2プラット
308より大型のCセグ以上を担うのがEMP2プラットフォーム。前輪とバルクヘッドの位置関係を固定し後部に柔軟性を持たせて5種のホイールベースを設定。井桁型の強固なフロアで剛性を確保し上部構造は自由度が高い。
※写真・図版はいずれも共用する308のものです。
アンダーフロアとサスペンション
見どころはリヤサスペンションにあり
同じEMP2を使用する2車のリヤサスを比較。308は小型FFの定石通りのTBA。508はモノコックにサブフレームをボルト留めし、それを介してマルチリンクの各アームを取り付けている。この位置にeアクスルを置いて電動4WDにすることも容易な構造。
308のトレーリングアームはフレーム直付け。ツイストビームをピボット位置に近づけて横剛性を確保する方向。508ではアルミ合金のサブフレームにアームが取付けられるがトレーリングリンクのみフレーム留め。
308のバネは非線形で細く緩く巻いた伝統のプジョー流。508では明らかに高レート。床高を下げるためにかなり寝かされているがハブ下部に付いていることでレバー比はほぼ1となる。
508のバンプストッパーは二重構造でバンプタッチ時のストローク速度変化を最小限に抑える工夫が見られる。
エンジン
エンジンは直4ガソリンとディーゼル。何れも基本設計はかなり古いものの、EURO6に対応すべく細かいブラッシュアップが為された玉成機関。本国では1.5ℓのディーゼルも存在するが日本には未導入。