ポルシェ初のフル電動スポーツカー、「タイカン(TYCAN)」。スポーツカーの雄たるポルシェがプライドを賭けて開発した電動スポーツカーだけに、そこに投入されたテクノロジーは、想像を遥かに超えるものだった。ポルシェ・タイカンのテクノロジーを徹底解説する。第二回は「エクステリア・インテリア編」だ。
TEXT◎世良耕太(SERA Kota) PHOTO &FIGURE◎PORSCHE
エクステリア:Cd値は0.22 ポルシェ最良の空力性能
「ひと目でポルシェとわかるデザイン。と同時に、独自性を備えた、非常にスポーティなデザインを目指した。内燃機関のポルシェよりもポルシェらしいデザイン」だと、マイヤーは説明する。
LED4灯のデイタイムランニングライトをあしらったヘッドライトの脇に、縦型のインテークを配しているのが目を引く。デザインと機能を両立させたエレメントで、ひと目でタイカンとわからせる仕掛けだ。空気抵抗係数のCd値は0.22で、ポルシェで最良の数字である。アンダーボディは前後のアクスルも含めて完全にカバー。フロントはクーリングフラップのオンオフ、リヤはスポイラーのオンオフ機能を備え、「エコ」モードと「パフォーマンス」モードで使い分ける。
リヤから眺めると、911のルーフをなぞったかのようなフライライン(Flyline)が確認できる。ナローヘッド、ワイドショルダーのポルシェらしい形を継承。リヤにあるPORSCHEのロゴは、ガラス風の処理で表現されているのが特徴だ。
もう少し詳しく見ていこう。タイカンの全長は4963mmで5mに満たない。ポルシェの分類上はCセグメントになる(一般的にはDセグメント)。全高は1378mmだ。後席乗員の足元にバッテリーを置かないようにし、低い全高と後席乗員の居住性を両立させている。
タイカンの外形寸法を911やパナメーラと重ね合わせてみると、パナメーラーに近いことがわかる。ただし、リヤは短く、ボンネットは低い。911との比較では、後席乗員のスペースが充分に確保されていることがわかる。シートは4プラス1のレイアウト。ゴルフバッグが入るラゲッジスペースをリヤ(366ℓ)に設けたのに加え、フロントにも小容量(81ℓ)のラゲッジスペースを設けている。
タイカンはターボとターボSのふたつのグレードを用意。ターボSのほうがよりスポーティな位置づけで、21インチサイズのタイヤ&ホイールが標準。ターボは20インチだ。モーターの出力とそれにともなうパフォーマンスもターボSのほうが上である。