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モード/実燃費の乖離を解消するRDEとは何か


VWの違法プログラム問題で明らかになったのは、現状の排ガス規制は、あくまで規定されたプログラムで測定されるため、現実の路上では意味をなさない、という事実だった。その矛盾を解消する手段としてRDE(Real Driving Emission)が俄に脚光を浴びている。より現実の走行に近く、同時に再現性が少なく、ピンポイントで対策を施すことが難しい、とされているRDEは、どのようにして生まれ、どのように育っていこうとしているのか。


TEXT:三浦祥兒(MIURA Shoji)

 現在の排出ガス規制に関しては日米欧の主要3地域が独自に制定していて、それぞれに排出ガスの成分・分量を調べるための測定基準がある。欧州ではNEDC(New European Driving Cycle)であり、北米では「FTP-75」「US06」等のモードを組み合わせ、日本ではJC08試験モードと、各地域それぞれ個別の測定基準を用いている。地域の実情に合わせるためには妥当といえるが、メーカーにとっては各々の基準に合わせた対策を施す必要があり、多大な費用と時間がかかる。VW問題の根本的な要因はそこにあると見てよいだろう。




 そこで世界的に統一した規制値と測定基準を制定し、開発コストを集約しようというのが、WLTCだ。WLTCは世界標準を目指すことから、国連の欧州経済委員会の排出ガス・エネルギー専門家会議(GRPE)が内容のとりまとめを行なっており、前記した主要3地域のほか、中国、インド、韓国が会議に参加している。これまでの測定基準が、現実の走行状況と乖離している実情から、より実際に即した試験モードを制定することに注力している。

(PHOTO:AVL)

 だが、現実に即しているとはいっても、予め規定されている手順に沿って実施されるから、「お受験対策」は可能であり、違法プログラムを完全に排除することはできない。




 欧州ではWLTCに参加しながら、独自の調査研究を行なっていた。EU技術研究所が、EURO5に適合した自動車の排ガスをNEDCモードで実車測定した結果、NOxの発生値が規制基準の数倍の割合で検出された。測定基準をいくら強化しても、未必の故意で規制は遵守できないということを、彼らはすでに把握していたのである。必要なのは、厳格な規格ではなく、実際の路上で状況に即した運転を行ない、それをリアルタイムで計測することだった。EUの政策決定機関である欧州委員会は、EURO6フェーズ2もしくはC/Dと呼ばれる排ガス規制の測定基準に、PEMS(Portable Emission Measurement System)を使用した実道路走行試験の採用を決定する。それがRDEである。

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