
6月に渡米した際、タイミングよくポモナのスワップミートが開催されていたので行ってきました。スワップミートとは日本で言うところのフリーマーケットのことで、ポモナ・スワップミートは年に7回、カリフォルニア州にあるオートクラブレースウェイ・アット・ポモナのパーキングで開催されています。朝の5時から午後2時まで開かれているのですが、めぼしい商品は朝イチで売れてしまうためか、入場ゲートは朝から大行列! クルマ好きなら行くだけで満足できる、カオスな世界をご案内します。
TEXT&PHOTO●小林秀雄(KOBAYASHI Hideo)
お宝からガラクタまですべてがここにある!
敷地はともかく広大です。大きく分けて車体を売るスペースと部品類を売るスペースとにレイアウトされていますが、ひとつひとつ細かく見ていると時間がまったく足りません。わりと開場間もない時間に到着して歩き始めたのですが、結局すべてのエリアをつぶさに見て回ることは叶いませんでした。ちなみに入場料はひとり10ドル、駐車場代が12ドルです。
会場内を行き交うクルマは販売車両そのものか、持ち込んだ商品を運ぶための運搬車です。貴重なクルマが「FOR SALE」のサインを掲げて、しれっと走っているので驚きます。
買い物を楽しむ人の多くが手にしているのが、ラジオフライヤーなどの手押し車。広い会場を歩いていると思わぬ掘り出し物に出くわすかもしれませんし、グズる子どもたちを運ぶのにも役立ちます。これはもうスワップミートにおける必需品です。
こちらの男性はシボレーのピックアップトラック用と思われるフロントグリルをご購入。
こちらのレディはヴィンテージのストーブをお買い上げです。
一番見ていて楽しいのは、やはり車体のコーナーです。だいたいどのクルマもプライスボードが置いてあるので、「このクルマがこの値段で!?」という思わぬ出会いもあったりするわけです。
アメリカには正規輸入されていなかった日産のパオ。89年式でお値段は1万1600ドル。アメリカでは貴重な存在ですから、妥当なところでしょうか?
きれいにレストアされているポルシェ914。いいですね。欲しくなると困るので値段はあえて見ませんでした。
ゴルフ1のピックアップトラック版であるVWキャディ。US仕様である角目ヘッドライトとビッグバンパーの野暮ったさがたまりません。80年式でお値段3500ドルでした。
通称レプトラとして知られるマツダのロータリートラック。メモ用紙にオーナーの電話番号と「欲しい人には販売します」とのメッセージが。思わずリンリンしそうになりました。
YAKIMAのルーフラックを載せた、いかにもアメリカっぽい雰囲気のダットサン510(日産ブルーバード)ステーションワゴン。ヤレ感を残したまま、タイヤ・ホイールだけ新品にして普通に使っているところがかっこいいですね。
日本を代表する名車、スーパーカブ(アメリカでの車名はHonda 90)もありました。ヤマハ・トレール125やホンダ・ダックスの姿も。こういった日本製の小型ヴィンテージバイクも意外とアメリカで人気です。「もったいない精神」はアメリカにも根付いていた!



車体のほかにも中古のエンジンやミッション、ダッシュボード、外装パネルなども山のように売られています。もったいない精神は日本人の専売特許と思いきや、アメリカにも古いものを直して長く使う文化が根付いています。


ミニカーやプラモデルはもちろん、フィギュア、作業服、工具、古いプレイボーイ、シフトノブに流用できる生ビールサーバーの取っ手、なぜかセブンイレブンの看板など、物欲をそそるものが目白押しです。
日本のおしゃれなハウススタジオに必ずと言っていいほど置いてあるもの、その1。タイプライター。
日本のおしゃれなハウススタジオに必ずと言っていいほど置いてあるもの、その2。ヴィンテージのクーラーボックス。 ちなみに個人的な戦利品としましては、ゴルフ1の整備書、一着2ドルのワークシャツ3枚、ドジャース時代の野茂英雄と斎藤隆のボブルヘッドをゲットしました。さて、いかがでしょう、おそらく全体の10分の1も紹介できていないと思いますが、雰囲気は伝わりましたでしょうか? ちなみに年内は10月13日と12月8日に開催される予定です。機会があれば、ぜひ行ってみてください。
著者プロフィール
小林秀雄:大正から昭和初期の文豪の如き不健康な風貌ながら、趣味は草野球とサーフィンというわかりにくい男。編集プロダクション勤務を経てフリーライターへ。愛車は初代VWゴルフで、ただいまエンジンスワップを画策中。