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スーパーカブ アーカイブス♯9


1958年に登場した初代モデル「スーパーカブC100」の登場以来、スーパーカブは丸みを帯びた外観を伝承。しかし2012年、突如、角張ったフォルムにフルモデルチェンジ。カブフリークの度肝を抜いたのも束の間、2017年には再び丸みのある“スーパーカブらしい”外観に変更。前後キャストホイールを装着した新しいコンセプトの「スーパーカブC125」が生まれるなど、スーパーカブにとっては激動の2010年~2019年をフィーチャーしてみた。


PHOTO●岩島浩樹(IWASHIMA Hiroki)


REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

2012年(平成24年) スーパーカブ50/110

「ニューベーシックカブ」をコンセプトにフルモデルチェンジ

スーパーカブ110

スーパーカブ110。外装を取り外したところ

スーパーカブ50

スーパーカブ50。外装を取り外したところ

 2012年3月に110が、5月には50がフルモデルチェンジされた。その姿は、“日本伝統の古き良き"丸目ヘッドライトとは一線を画す、アジアンテイストがふんだんに盛り込まれたもの。




 当時、“世界の工場”と呼ばれていた中国で生産されたこのスーパーカブは、価格も大幅に値下げされ、大きな話題を呼んだ。




 ヘッドライトは新設計の大型マルチリフレクターを採用。スーパーカブのシンボルでもあるリヤフェンダーは、ボディー体型から別体型に変更された。




 110のエンジンは、先代(2009年~)の丸目に比べれば若干パワーダウンしたものの、低フリクションを実現するローラーロッカーアームや、オフセットシリンダーを導入。トルクアップにより、低中速域のさらなる乗りやすさを実現した。




 50は110と同様、発進用と変速用の2つのクラッチを備えた「2段クラッチシステム」を採用。オフセットシリンダーも導入され、パワーは3.4PSから3.7PSにアップされている。




 2012年型の50と110は、外装、フレーム、足周りがほぼ共通。ただし50・110とも、基本的に2012年型用パーツと先代(2009年~)用パーツには互換性はない。

2012年のスーバーカプは、ココが大きく変わった!



 リヤフェンダーは、ボデイー体型の丸みを帯びた形状から、ボディ別体型のシャープなフォルムに変更。ウインカーは、タイカブなどアジア仕様のような、テールランプ一体型ではなく、フエンダー部取り付けの別体型を採用。




 リヤ周りは、原付2種に義務付けられた三角マークステッカーの有無以外、50・110ともに共通。テール周りと一体感を持たせたリヤキャリアは、50・110とも縦331mm× 横229mmサイズ。



 半分が大型のフロントフェンダーに隠されているフロントフォークは、50・110とも、インナー径Φ26の正立タイプを装備。スポークホイールとのマッチングも良好で、スポーティな雰囲気がポイント。

 シート下の燃料タンク。容量は50・110とも4.3L。タンク下にはバッテリー。タンク横にはECUなどの電装パーツが固定されている。写真は50。

 大径の丸パイプを使用した、剛性の高さを物語るシートレール。リヤキャリアの固定部は、リヤショックの外側となるため、リヤショック交換時はリヤキャリアの取り外しが必要となる。写真は50。

 フロントのドラムブレーキ径は110mm(先代の2009年~110は130mm)。 ドラムブレーキは50・110とも共通。写真は50。

 ステップとシフトペダルは50・110とも、先代(2009年~)に比べて内側にオフセット。左側のバンク角度が増えているのが特徴だ。写真は50。



 左側のスインチボンクスは、上からヘンドライトのHI・LOW切り替えスインチ、ホーンボタン、プッシュキャンセル式のウインカースインチを配置。スインチの並びは50・110とも共通。




 右側のスインチボンクスは、セルフスターターボタンのみ(キックスターターと併用)。スイッチの位置は50・110とも共通。



 50・110とも、先代(2009年~)はワンピースタイプだったが、2012年型は分割式のツーピースタイプに変更。50と110は共通。

2012年のスーバーカプ。50と110はココが違う!

スーパーカブ50のエンジン



スーパーカブ110のエンジン



 50と110のエンジン部分。外観上、クラッチカバーやジェネレーターカバーは共通だが、大きく異なるのはシリンダーとシリンダーヘンド。




 50と110とでは、シリンダーの冷却フィンの箇所、シリンダーヘッドの形状、シリンダーヘッドカバー(110はシャワーヘッドを装備)がまったく違う。




 また、50のマフラーはエンジン下付近にキャタライザーをレイアウト。一方、110はマフラーの中間付近に設置されている。



50cc
110cc


 50は60km/h表示に加え、速度警告灯がある。一方、110は120km/h表示。50・110とも、ニュートラルランプは付いているが、ギヤ位置を示すンフトポイントインジケーターは未装備。なお、当時のタイカブには、シフトポイントインジケーターが装備されていた。



50cc
110cc


 タンデムステップとの干渉を防ぐため、地面とほぼ平行に伸びる110用マフラー。一方、50用マフラーはやや上方を向くレイアウトとされている。

★先代(2009年~)110用マフラーは、2012年型110に装着できる?




フルモデルチェンジによって、フランジの位置とスイングアームのピボットの位置関係などが変わってしまったため、基本的に装着は不可。流用する場合は、マフラー固定部の穴位置変更等の加工が必要となる。

 50のタイヤ幅は60mm(60/100-17)。100は80mm(80/90-17)。トルクロッドとのクリアランス(矢印)は、50が約20mm(チェーンケース側は約40mm)。 110が約10mm(チェーンケース側は約30mm)。タイヤ幅は


50・110とも、100mm付近が限界点だと推測できる。



 フロントフォークはインナー径Φ26のため、スクーターなど他車用フォークも流用できる可能性あり。なお、50のタイヤ幅は60mm(60/100‐ 17)、100は70mm(70/90-17)。ノーマルステムの場合、タイヤ幅は50・110とも、100mm付近が限界点であると予測。



 スーパーカブならではのチェーンガードは、2012年型にも健在。110の場合、先代(2009年~)は樹脂製だったが、2012年型は金属製に変更。写真は50。




 110には、スイングアーム部にタンデムステンプが付く。リヤシヨンクは50・110とも長さ345mm(編集部実測値)。

 400mm× 200mmサイズの角断面パイプを使ったスイノクアーム。長さは410mm(ピボット部からアクスルシャフト部まで)。各部の寸法は50・110とも共通。写真は50だが、 110にはタンデムステップが付く。




 なお、2012年型110用スイングアームは、先代(2009年~)110用よりも10mm程度延長されている。※寸法はすべて編集部による実測値。

2012年モデルと前モデルの主要諸元比較

NEWスーパーカブ50/110(2012年モデル)の細部をチェック!















2012年型スーパーカブ110(2012年モデル)のカラー一覧

スーパーカブ110 (スマートブルーメタリック)
スーパーカブ110 (スマートブルーメタリック)


スーパーカブ110 (パールプロキオンブラック)
スーパーカブ110 (パールプロキオンブラック)


スーパーカブ110 (パールバリュアブルブルー)
スーパーカブ110 (パールシルキーホワイト)


スーパーカブ110 (バージンベージュ)
スーパーカブ110 (バージンベージュ)


2012年型スーパーカブ50(2012年モデル)のカラー一覧

スーパーカブ50 (パールハーベストグリーン)
スーパーカブ50 (パールハーベストグリーン)


スーパーカブ50 (パールプロキオンブラック)
スーパーカブ50 (パールバリュアブルブルー)


スーパーカブ50 (スマートブルーメタリック)
スーパーカブ50 (バージンベージュ)


2013年(平成25年) リトルカブ・55周年スペシャル

初代「スーパーカブC100」の誕生55周年記念モデル

 1958年に登場した初代モデル「スーパーカブC100」の誕生55周年を記念して、ファッショナブルなカラーリングを採用した2種類の「55周年スペシャル」を受注期間限定で発売。




 両カラーともに、ファッショナブルなレッド塗装の前後リム、またブラック塗装の前後ブレーキハブを採用することで、足周りの印象を引き締めている。




 左右のサイドカバーにはクロームメッキ処理を施し、スーパーカブ誕生55周年を記念したステッカーを配置。格子模様のデザインを施した専用シートとすることで、所有感を高めているのもポイント。当時の発売価格は24万9900円。

2015年(平成27年) リトルカブ・スペシャル

スーパーカブの「立体商標登録」を記念した特別モデル



 2014年、ホンダはスーパーカブの立体商標(※)を登録。これを記念し、翌年の2015年、特別カラーを採用した「リトルカブ・スペシャル」を受注期間限定で発売された。




 リトルカブ・スペシャルは、車体色に鮮やかなパールコーラルリーフブルーを採用。フロントエンブレムとサイドカバーのマークには、立体商標登録を記念した専用デザインを実施。シート表皮は、レッドとホワイトのツートーンにすることで、一段とおしゃれなイメージとしている。




 当時の発売価格は23万7600円。

(※)立体商標とは?




自社と他社の製品を識別できる立体物を商標法で保護する制度。スーパーカブは、1958年の誕生から50年以上の間、機能的な向上を図りつつも一貫したデザインコンセプトを守り続けた結果、デザインを見ただけでお客様がHondaの製品であると認識できることが特許庁の審査で認められ、2014年6月に立体商標登録。乗り物としては初の快挙となり、話題を呼んだ。

2017年(平成29年) スーパーカブ50/110

スーパーカブならではの丸型フォルムが復活!

スーパーカブ110(グリントウェーブブルーメタリック)

スーパーカブ50(パールシャイニングイエロー)

 2017年、スーパーカブ50/110がフルモデルチェンジ。生産拠点も中国から日本の熊本製作所に移管された。




 新しいスーパーカブ50/110は、レッグシールドからリヤフェンダーにつながる、滑らかな曲面で構成された外観デザインに一新。




 ボディ両サイドには、使い勝手をより高める取り外し可能なサイドカバーを採用。また、省エネルギーで長寿命なLEDを丸形のヘッドライトに組み込むことで、コンパクトなハンドルまわりを実現。




 伝統的なスタイリングに、先進性も兼ね備えた新世代スーパーカブを表現している。

NEWスーパーカブ110(2017年モデル)のカラー一覧

スーパーカブ110(グリントウェーブブルーメタリック)
スーパーカブ110(グリントウェーブブルーメタリック)


スーパーカブ110(クラシカルホワイト)
スーパーカブ110(バージンベージュ)


スーパーカブ110(タスマニアグリーンメタリック)
スーパーカブ110(アーベインデニムブルーメタリック)


NEWスーパーカブ50(2017年モデル)のカラー一覧

スーパーカブ50(アーベインデニムブルーメタリック)
スーパーカブ50(パールシャイニングイエロー)


スーパーカブ50(バージンベージュ)
スーパーカブ50(ムーンストーンシルバーメタリック-U)


スーパーカブ50(タスマニアグリーンメタリック)
スーパーカブ50(アーベインデニムブルーメタリック)


●スーパーカブ110の主要諸元


全長:1860mm 全幅:695mm 全高:1040mm/エンジン形式:空冷4スト単気筒OHC109cc/ボア×ストローク:50.0mm×55.6 mm/最高出力:8.0ps/7500rpm/最大トルク:0.87kgm/5500rpm/ミッション:自動遠心式クラッチ4段リターン/タイヤ:前70/90-17 後80/90-17/重量:99kg/価格:27万5400円 ※プロは29万7000円(消費税8%込/発売当時)
●スーパーカブ50の主要諸元


全長:1860mm 全幅:695mm 全高:1040mm/エンジン形式:空冷4スト単気筒OHC49cc/ボア×ストローク:37.8mm×44.0 mm/最高出力:3.7ps/7500rpm/最大トルク:0.39kgm/5500rpm/ミッション:自動遠心式クラッチ4段リターン/タイヤ:前後60/100-17/重量:96kg/価格:23万2200円 ※プロは25万3800円(消費税8%込/発売当時)

2018年(平成30年) スーパーカブC125

前後キャストホイールなど、最新装備を採用

 2018年(平成30年)、スーパーカブC100が誕生して60年を迎えたこの年。スーパーカブシリーズの普遍的な車体パッケージに、最新装備を採用するなど、より上質感を追求した原付二種(第二種原動機付自転車)のパーソナルコミューター「スーパーカブ C125」がリリースされた。




 スーパーカブ C125は、歴代スーパーカブシリーズの特徴的なデザインである、レッグシールドからリアフェンダーにつながる滑らかな曲面で構成されたシルエットに、初代モデルの「スーパーカブ C100」を彷彿させる“鳥が翼を広げたような形のハンドル”部から、フロントフォークまでを一体とした「ユニットステア」を採用するなど、普遍的で気品のあるスタイリングに設計されているのがポイントだ。




 詳しくは下記をチェック!



■既存のカブとナニが違う? 高級路線、約40万円の「スーパーカブ C125」を徹底解説■スーパーカブC125をマニアな目線で試乗分析 ♯1【まずは乗ってみた】■【ホンダ・スーパーカブC125試乗】高い、けどそれでいい。 乗って納得した”C125の魅力”■スーパーカブC125をマニアな目線で分析 ♯2【全バラにしてみた】
●スーパーカブC125の主要諸元


全長:1915mm 全幅:720mm 全高:1000mm/エンジン形式:空冷4スト単気筒OHC124cc/ボア×ストローク:52.4mm×57.9mm/最高出力:9.7ps/7500rpm/最大トルク:1.0kgm/5500rpm/ミッション:自動遠心式クラッチ4段リターン/タイヤ:前70/90-17 後80/90-17/重量:110kg/価格:39万9600円(消費税8%込/発売当時)
2019年6月(令和元年)に登場したスーパーカブC125のニューカラー(パールカデットグレー)。詳しくは写真をクリック!

2018年(平成30年) スーパーカブ50/110・60周年アニバーサリー

スーパーカブ誕生60周年記念モデル

スーパーカブ110・60周年アニバーサリー(マグナレッド)

スーパーカブ110・60周年アニバーサリー(マグナレッド)

 スーパーカブ50/110・60周年アニバーサリーは、1963年に米国で展開され話題を呼んだ「ナイセスト・ピープル・キャンペーン」広告に描かれたイメージイラストをモチーフとした記念モデル。




 マグナレッドを主体としたボディカラーに、ツートーン仕様のシートやブラック塗装のリアキャリアを採用するなど、特別なカラーリングを実施。


 


 また、スーパーカブ誕生60周年の記念エンブレムをサイドカバーとキーにそれぞれ採用するなど、特別感にあふれた1台としている。

スーパーカブ50・60周年アニバーサリー(マグナレッド)
スーパーカブ50・60周年アニバーサリー(マグナレッド)


「ナイセスト・ピープル・キャンペーン」の当時の広告。

●スーパーカブ110・60周年アニバーサリーの主要諸元


全長:1860mm 全幅:695mm 全高:1040mm/エンジン形式:空冷4スト単気筒OHC109cc/ボア×ストローク:50.0mm×55.6 mm/最高出力:8.0ps/7500rpm/最大トルク:0.87kgm/5500rpm/ミッション:自動遠心式クラッチ4段リターン/タイヤ:前70/90-17 後80/90-17/重量:99kg/価格:28万6200円
●スーパーカブ50・60周年アニバーサリーの主要諸元


全長:1860mm 全幅:695mm 全高:1040mm/エンジン形式:空冷4スト単気筒OHC49cc/ボア×ストローク:37.8mm×44.0 mm/最高出力:3.7ps/7500rpm/最大トルク:0.39kgm/5500rpm/ミッション:自動遠心式クラッチ4段リターン/タイヤ:前後60/100-17/重量:96kg/価格:24万3000円

2018年(平成30年) スーパーカブ50/110・ストリート

「ボニーブルー」と「ハーベストベージュ」の2色を限定発売

スーパーカブ110・ストリート(ボニーブルー)

スーパーカブ110・ストリート(ボニーブルー)

 2018年に登場した、受注限定発売のスーパーカブ50/110・ストリート。ボディカラーには、淡い色合いの「ボニーブルー」と「ハーベストベージュ」の2色を設定。




 スーパーカブの象徴的なレッグシールドを、各カラーと同色とし、サイドカバー、クランクケースカバー、リヤキャリア、前後輪のハブ、スイングアーム、チェーンケースなどにブラックの配色して、上品&洗練されたカラーコーディネートとしているのがポイント。




 また、フロントカバーのエンブレムやメーターを縁取るリングには、より上質感のあるクロームメッキを採用したほか、白のパイピングを施したシートの後部側面やスペシャルキーには、歴代スーパーカブに採用されたさまざまなロゴやスーパーカブを模式化した図案などをあしらい、よりおしゃれで特別感にあふれたモデルとしている。




 当時の発売価格は、50が 24万3000円、110が28万6200円。

スーパーカブ50・ストリート(ボニーブルー)
スーパーカブ50・ストリート(ボニーブルー)


クロームメッキメーターリング
モノグラムデザイン採用ツートーンシート


スペシャルキー

・スーパーカブ60年の歴史を辿る(1960年~1969年編)・スーパーカブ60年の歴史を辿る(1970年~1979年編)・スーパーカブ60年の歴史を辿る(1980年~1989年編)・スーパーカブ60年の歴史を振り返る(1990年~1999年編)・スーパーカブ60年の歴史を振り返る(2000年~09年編)
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