NEDOの助成事業において、本田技研工業とパナソニック、パシフィックコンサルタンツ、PT.HPP Energy Indonesiaは、インドネシアでの電動モビリティー向けバッテリーシェアリングシステムの実証研究を開始した。
インドネシア政府は、2025年までに1次エネルギー源における石油の割合を現在の49%から22%以下に低減させる目標を掲げている。また、同国の二輪車・四輪車保有台数は東南アジア第1位で、自動車向け燃料費補助金による財政圧迫と大気汚染の進行を理由に、自動車の石油燃料消費量削減への関心が高く、2025年に電動二輪車210万台、電気自動車(EV)2200台の生産を目指している。
しかしながら、それら電動モビリティーの普及には長い充電時間を短縮することが課題であることに加え、使用後のバッテリーの再利用まで見据えた取り組みが必要。現在、同国での二輪車・四輪車市場において、日本メーカーが主流を占めていることから、日本が同国において果たすべき役割は大きいと言える。
このような背景の下、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、インドネシアでの電動モビリティー普及の課題解決を目的としたバッテリーシェアリングシステムの実証事業※1を立ち上げ、分散型エネルギー資源としての可搬型蓄電池シェアリング実証研究の実施について、インドネシア工業省と基本協定書(MOU)を締結した。あわせて、NEDOが助成先として選定した本田技研工業、パナソニック、パシフィックコンサルタンツ、PT.HPP Energy Indonesiaの4社と、インドネシアにおける協力会社であるPT Astra Otoparts Tbk※2が、本実証研究を共同で実施することで合意し、協定付属書(ID)を締結した。そして、本田技研工業とパナソニック、パシフィックコンサルタンツ、PT.HPP Energy Indonesiaは、インドネシアで電動モビリティー向けバッテリーシェアリングシステムを構築し、今般、本システムの実証研究を開始した。
本実証研究では、電動二輪車から着脱・持ち運び可能なバッテリーをユーザー間でシェアすることによる充電時間の短縮効果や、ICTを活用したバッテリー稼働状況の集中管理を含めたシステム全体の有効性を検証。実証で得られた結果をもとに、本システムを用いたビジネスモデルの確立を図り、インドネシアでの電動モビリティーの普及とともに環境負荷低減を目指す。
電動モビリティーの弱点である充電時間の問題を根本的に改善するため、可搬型蓄電池シェアリングシステム(着脱・持ち運び可能なバッテリーを電動バイクから切り離してユーザー間でシェアする方式)を採用する。また、バッテリー稼働状況の集中管理を行い、交換バッテリー配置の最適化を含めたシステム全体の有効性を検証する。実証期間は、2019年8月から2021年2月までを予定している。
具体的には、バンドン市とデンパサール市に設置した充電ステーションで、電動バイクユーザーがスマートフォンアプリなどを通じてバッテリーをシェアする方式を導入する。電動バイクの使用頻度が異なるユーザー間でのバッテリーシェアリングにより、バッテリーの劣化度合いの平準化が図られ、長寿命化も期待できる。
また、西ジャワ州西バンドン県タングシジャヤ村では、バッテリー単体の二次利用サービスに関する実証も行う予定。小規模水力発電を主要電源とする一般家庭に、電動バイクでの使用済みバッテリーと充放電器を設置し、夜間には水力発電設備から得られる電力をバッテリーに蓄電して、電力需要ピーク時には補助電源として活用することで、電動二輪車での用途を終えたバッテリーの、電力分野での二次利用の有効性を検証する。
実証研究の開始にあわせて、28日、インドネシア工業省において、現地政府やNEDO、助成先企業の関係者らが出席し、運転開始式を開催した。