
コンパクト・クロスーバーともコンパクトSUVとも称される「カッコよくて都会的でコンパクトなクルマ」の人気が年々高まっている。このカテゴリーを創出したのは、日産ジュークだ。9月3日に次期モデル発表が予告されているジューク。新型ジュークはこのカテゴリーで再びリーダーになれるか。販売データから読み解いてみよう。

自動車産業とは、本当に生き馬の目を抜く世界だ。莫大な投資を必要とする新車開発は、ある意味博打的要素もある。ひとたび、誰かがヒットを飛ばせば、そこにフォロワーが生まれる。カテゴリーのパイオニアは当然、先駆者利益を手にすることができる。
2010年発売の日産ジュークは、コンパクト・クロスーバーという新しいジャンルを築いたパイオニアだ。個性的で何者にも似ていないスタイル、ほどよいサイズ感、都会的なイメージ……成功の理由をあとから考察するのは簡単だ。
このカテゴリー、世界的に人気か、といえば、じつはそうでもない。最大マーケットの北米・中国ではもう1サイズ上のクラスの方が人気だ。コンパクト・クロスオーバーの人気がもっとも高いのはヨーロッパだ。今回は、販売台数のデータから、マーケットを読み解いていこう。
日産ジュークの欧州での販売台数の推移


2010年後半の発売からすぐに人気モデルになったのがわかる。2011-2017年の7年間にわたって年間販売台数10万台前後をキープしてきた。欧州市場に特別強いとは言えない日産だから、この数字は大きい。じつはジュークの発売に先立つこと4年の2006年にSUVのキャシュカイがデビュー。2010年には欧州で年間20台超の大ヒットとなっていた。
ともあれ、ジュークは想定外とも言っていい大ヒットとなった。
最初に現れたフォロワーは、キャプチャーと2008
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他メーカーがジュークの快進撃を指をくわえて見ているだけ、ということもちろんない。最初にジュークの後を追ったのは、日産とアライアンスを組むルノーのキャプチャー、そして同じくフランスのプジョー2008だった。

両モデルも大ヒットを記録。2014年にはシトロエンC4カクタス、フォード・エコスポーツ、ジープ・レネゲードが登場。2015年にマツダCX-3、フィアット500X、2016年にアウディQ2が続いた。
しかし、年間10万台以上のヒットとなったのは、ジューク、キャプチャー、2008の3モデルのみ。先行した3モデルがマーケットをリードすることになった。
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そこへ巨人、トヨタとVWが参入
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そこにもっとも遅れて参入したのがトヨタ、そしてフォルクワーゲンだ。トヨタはご存知C-HRを欧州に投入。2017年には年間13万台のヒットとなった。ボルボも2017年にXC40を投入、2018年には4.7万台を販売している。現在のところ最後のフォロワーとなったのが、VWのT-ROCだ。こちらも発売すると2018年に14万台を売るヒットとなった。
ジュークが切り拓いたカテゴリーは、グラフに載せたモデルだけでも合計100万台を超えるマーケットを形成。各メーカーが鎬を削る分野となった。ここで勝ち抜くのにもっとも必要な要素は、「個性的でスタイリッシュなデザイン」だ。その意味でも、モデルライフは長くないはず。ジュークが2010年以来一度もフルモデルチェンジを受けていないのは、ある意味驚きなのだ。

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マーケットをリードするジューク、キャプチャー、2008がC-HR、T-ROCの参入を受けてフルモデルチェンジをするのが2019年とほぼ同じ時期になるのもなかなか興味深い。
さて、9月3日に新型ジュークがどんなデザインで登場するか、楽しみに待とう。そのジュークが欧州以外の市場(日本や北米)に投入されるのか、それも見守りたい。