OKIエンジニアリングは、業界で初めて自動車の駆動ユニットやPCU(注1)などの腐食の定量評価を実現した「ワンストップ耐腐食評価サービスを7月25日より提供開始する。
新サービスは、車載部品に要求される厳しい環境ストレスへの耐性の定量評価を可能にしたもので、塩水複合サイクル試験と孔食(こうしょく)(注3)定量評価をワンストップで提供する。
近年、 EV車やハイブリッド車の増加に伴い、燃費向上策として軽量化を図るため、駆動部品などに電子回路部を組込み、ユニットとして一体化する傾向がある。この駆動ユニットやPCUはアルミの筐体で覆われており、自動車メーカーは、軽量化に向けアルミ筐体の薄さの限界値と耐用年数などを算出するため、耐腐食評価を行う。耐腐食評価では、ユニットの塩水複合サイクル試験を行い、試験後に電子回路部の腐食度合を評価する。腐食の度合いを確かめる手法として、光学顕微鏡等による「外観観察」や「レイティングナンバー法(注4)」および「腐食減量法(注5)」があるが、これらの手法では主に視認により判断するため、自動車メーカーの求める孔食の定量評価ができず課題となっていた。
今回、OEGは塩水複合サイクル試験後のユニットの試験片に独自の表面処理を行うことで、孔食の深さの分布状況を面分布としてデータ化する孔食の定量化の技法確立に成功した。これにより、ユニットを分解、加工することなく、塩水複合サイクル試験を実施し、金属材料の孔食定量評価を行える。これまで、塩水複合サイクル試験と孔食定量評価がワンストップで可能な第三者試験所はなく、業界初のサービスとなる。
今回のサービス提供開始によりOEGは、塩水複合サイクル試験と孔食定量評価に加え、従来から提供しているオゾン試験、耐候性試験、ガス試験などとも合わせてワンストップで試験・評価サービスを提供できる態勢を整えた。これらのサービスの利用により、顧客は自社で設備・人的投資をすることなく、効率よく車載ユニットの信頼性環境試験、分析、解析などを実施できる。
価格:個別見積
販売目標:1億円/年
サービス提供開始時期:2019年7月25日
注1:PCU(power control unit)
EV車やハイブリッド車の電力を適切にコントロールするために開発された制御ユニット。
注2:腐食評価
塩水複合サイクル試験機、ガス試験機、耐候性試験機など塩水を噴霧したり、硫化水素、二酸化硫黄、オゾンなどのガス雰囲気にさらしたり、太陽光に近似した人工光源の照射や、乾燥、湿潤を組合せ試験材料の腐食を促進させる事で、屋内外の条件を人工的に再現し、実際に使用される環境を模擬して劣化を促進させ、製品・材料の劣化状況・耐性の確認するもの。
注3:孔食(こうしょく)
金属の表面に発生し、内面に向かって孔状に進行する腐食のこと。
注4:レイティングナンバー法
腐食面積と有効面積との割合によって腐食の程度を示す評点で、10(腐食なし)~0(全面腐食)に区分、JIS D 0201、H 8617、H 8681に示されている標準図との対比によって腐食の程度を評価する方法。
注5:腐食減量法
試験前後の重量を比較することで評価する方法。