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BMW M のフラッグシップ新型M8が積むV8ツインターボエンジン、625psのS63B44型


BMW M社の新しいフラッグシップモデルとして新型M8がデビューした。4.4ℓのV8ツインターボエンジンは、M8が600ps、M8 Competitionでは625psというハイパワーを誇る。その4.4ℓ90度V8ツインターボの技術を見ていこう。

S63B44型

新型BMW M8

S63B44型エンジン

 BMWの新型M8が搭載する4.4ℓV型8気筒は、吸排気を逆にしてバンク間に2基のツインスクロールを置いて過給する方式を採る。バンク内に排気し、ターボチャージャーを収めることで、タービンまでの距離を短くできること、全体の配管取り回しがコンパクトにできること、いちばん熱を持つデバイスを冷えやすい頂上に置くことなどがメリットとして考えられる。V8エンジンは、N63型とそれをベースにBMW M社が開発したS63型がある。


 直近までのBMWのエンジンはボアピッチを91mmに揃えたモジュラー設計だったが、始点を1990年まで遡るこのV8エンジンはボアピッチが98mmと長めにとってある。その理由はおそらく5.0ℓ級までV8エンジンでカバーするメルセデスのエンジンラインアップを睨んででのことだったのだろう。それゆえ、BMWエンジンをしては唯一、90.0mm以上のビッグボアだったが(S62やN62のボアは94.0mmのボア径だった)、現行のN63/S63は89.0mmと80mm台に収まっている。燃料の最大噴射圧は350bar。もちろん筒内燃料直接噴射(DI)だ。M8搭載のS63では、サーキット走行を考慮して、オイルパンのフロント側に小型のオイルチャンバーをを搭載し、極度の横方向および前後方向の負荷のかかる状況下でも必要に応じて小型チャンバーから追加でオイル供給を可能にする吸引システムを採用している。


 M8 Competitionが搭載するS63型はさらにチューンの度合いが上がり、最高出力625ps/6000rpmを発生する。

S63型

エンジン形式:90度V型8気筒DOHCターボ


エンジン型式:S63B44


排気量:4395cc


ボア×ストローク:89.0mm×88.3mm


圧縮比:10.0


最高出力:600ps(441kW)/6000rpm


最大トルク:750Nm/1800-5600rpm


給気方式:ターボチャージャー


カム配置:DOHC


ブロック材:アルミ合金


吸気弁/排気弁:2/2


バルブ駆動方式:ロッカーアーム


燃料噴射方式:DI


VVT/VVL:In-Ex/◯

S63型ではターボチャージャーにツインスクロール型を採用。考えられる手段はすべて盛り込んだBMW Mのためのハイパフォーマンスユニットだ。

バンク外側は吸気側になるので通常配置のエンジンと比べてもコンパクトに見える。

バンク間に2基備えるターボチャージャーは、S63型がツインスクロール、N63型がシングルスクロールだ。

N63B44型

N63型

シリンダー配列 V型8気筒


排気量 4395cc


内径×行程 88.0mm×88.3mm


圧縮比 10.0


最高出力 530ps(390kW)/5500rpm


最大トルク 750Nm/1800-4600rpm


給気方式 ターボチャージャー


カム配置 DOHC


ブロック材 アルミ合金


吸気弁/排気弁数 2/2


バルブ駆動方式 ロッカーアーム


燃料噴射方式 DI


VVT/VVL In-Ex/×

バルブトレーン部分をアップにする。

N63。こちらはシングルスクロールターボ。バルブトレーント吸排気デバイスを見ると、63型の特異なレイアウトがよくわかる。バンク内に排気、そしてターボチャージャーをしかも2基おさめるという突飛なアイデアだが、タービンまでの距離を短くでき、ターボのレスポンスを上げられるというメリットがある。

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