
2016年10月に、衝撃的なニュースが配信されてのを覚えているだろうか。ホンダとヤマハが原付1種(50cc)領域での協業について発表。かつてはHY戦争で熾烈な戦いを展開した両社が手を組む。ここでは詳細を割愛するが、ひとつにホンダ製品のOEM供給があった。1983年にデビューしたロングセラーモデルのJOGはヤマハモーター台湾製造の“Movistar Yamaha MotoGP Edition”を最後に、ホンダ熊本製作所産に切り替えられ、2018年3月にモデルチェンジデビュー、ホンダタクトのOEM製品となったのである。
REPORT⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO⚫️山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
ヤマハ・JOG……167,400円
マグナレッド〈新色〉 | グラファイトブラック〈新色〉 |
ロスホワイト〈新色〉 | ボルドーレッドメタリック〈新色〉 |
ヤマハ・JOG デラックス……180,360円
タスマニアグリーンメタリック〈新色〉 | アトモスフィアブルーメタリック〈新色〉 |




今回は50ccスクーターのJOGを10日程拝借して、筆者の生活の中に取り込んでじっくりと使ってみることにした。これまで50ccスクーターとは縁が薄く、通勤等の足には125 ccクラスが良いと考えていた筆者だが、正直50ccの良さも侮れない価値と魅力があることに、改めて気付いたのだ。
JOGは現在、ヤマハのスクーターバリエーションの中でも最廉価に位置する親しみやすいモデル。JOGと言えばかつてはスポーツスクーターのパイオニア的存在だったため、筆者の記憶の中にはどこか若々しいイメージをもっていた。なので久方ぶりに現行モデルのJOGと対面した時、少し違和感を覚えた。それもそのはず、冒頭で記した通りこのJOG はタクトのOEM 製品。つまりホンダ製のヤマハJOGであり、テール周りなどにタクトの面影がのこっている。
前述の通り50ccにはあまり興味のなかった筆者だが、今回ハッキリとしたのは、“コイツは使える”! その気楽な使い勝手には驚きを覚えた程であった。もちろんJOG に限るお話では無いのだが、ペダルを漕ぐ必要のない自転車と考えると、その豊かな実用性と快適性には大きな魅力がある。
とかくネガな話をすると法定速度が30km/hであること。大きな交差点では二段階右折が強いられ、アンダーパスやオーバーパスが通行できない場合があったり……、たしかに不自由な面もあるのだが、通勤時間帯にバスレーンを走れるといった50ccクラスならではのメリットもあったりする。
実際に、今回生活の中でJOG を使用して明確になったのは、上記のデメリット的なシーンに遭遇することはほとんど無かったのである。家から近所、せいぜい数キロの距離を買い物等に使う。まさに自転車がわりに使用すると、通る道も住宅街の道が殆どでそこの制限速度は20や30㎞/hに過ぎない。4車線の幹線道路を通る必要性はなく、2段階右折もしなくて済んでしまう。
もう一つ大きなメリットも発見。駅近の駐輪場は自転車がメインだが、原付1種(つまり50cc)のみは止めさせてくれる。 内は3人家族でバイク乗りは筆者一人だが、皆普通免許は所持しているので、50ccのJOGは乗れる。この便利さに気付いたら、おそらく家族で奪い合いになってしまう事だろう。

さて、JOG の車重は80kg足らず。かつての2スト時代と比べるとさすがに重いが、現行のバイクラインナップのなかでは十分に軽い部類だ。シート高は705mm と低く、文字通り自転車感覚の乗り味だ。サイドスタンドは無く、センタースタンドのみだが、リヤキャリア位置にあるグリップを握ると軽く扱いやすいから、めんどうは感じられない。シート下の収納スペースは19L(デラックスは20L)の容量を誇り、さらにオプションのフロントバスケット(4,104円)を取り付ければ買い出しにも大活躍だ。
エンジンはブレーキレバーを握りながら右手のセルボタンをワンプシュで簡単始動。ブレーキレバーを放して右手を捻れば難なく発進する。ビギナーでも不安を感じさせない穏やかさで加速感も不足はなくそれなりにテキパキ走れる。
また素晴らしいと評価できるのは、コンビブレーキ性能の高さだ。左手の操作で前後のブレーキがバランス良く効いてくれる。右手をプラスすれば、かなり鋭い制動力も期待できるのだ。雨の中でも走行したが、このコンビブレーキのおかげで常に安定して止めることができた。オーバーに表現をすると、まるでABS が装備されているかのような安心感が伴う。右手操作も含めてフルブレーキングを試してみても、スリップ転倒の心配はほとんどないのである。
正直一家に1台置いておくと、生活がとても便利になることは請け合いだ。自転車の延長線上の使い勝手に割り切るなら、50ccスクーターの機能性は抜群の物がある。なによりペダルを漕がずに済む快適性は日常の行動半径と時短に役立つことは間違いない。
⚫️足つきチェック(ライダー身長170cm)
 | コンパクト軽量故、車体を支える上での不安感は皆無。シート高は705mmと低く、ご覧の通り両足は地面にべったりである。 |
⚫️ディテール解説
オーソドックスなシングルカム式のドラムブレーを装備。右手ブレーキレバーの操作で単独制御できる。
クランクケースカバーにはしっかりとHONDAの文字がある。始動はセルモーター式だが、キック始動も可能。
水冷4ストロークSOHCの電子制御燃料噴射式エンジンを搭載。ホンダのeSPエンジンである。
中央には大型のコンビニフックを装備。左側のインナーボックスには500mlサイズのペットボトルが収納できる。 ステップスルーでフラットなフロアを持つのがスクーターの標準的スタイル。スタンドはセンターのみだが、操作が軽いので苦にならない。 | フラットなフロアステップ後方の蓋を開けるとキーロック付き(プッシュロック式)のフィラーキャップが現れる。左右どちらからでも給油しやすい。 |
クッション厚や座り心地の十分、赤いステッチも入れられ上質な仕上がり。デラックスはさらに上質な専用シートが採用されている。(シート高は720mm)
シート下収納容量は小型のジェットヘルメットが収納できる19L。筆者が普段愛用するSHOEI J-Force Ⅲはシート底面に接触し、収納できなかった。
シンプルなアナログ式スピードメーター。液晶デジタル表示は燃料計やオド&トリップ、時計を装備。
マフラーの張り出しも少なく、全体的に端正にまとめられたデザインが好印象。◼️主要諸元◼️
ジョグ/〈ジョグデラックス〉
認定型式/原動機打刻型式:2BH-AY01/AF74E
全長/全幅/全高 : 1,675mm/670mm/1,040mm
シート高 : 705〈720〉mm
軸間距離 : 1,180mm
最低地上高: 105mm
車両重量 : 78kg〈79kg〉
燃料消費率*1 国土交通省届出値
定地燃費値*2 80.0km/L(30km/h) 1名乗車時
WMTCモード値 *3 58.4km/L(クラス1) 1名乗車時
原動機種類:水冷・4ストローク・SOHC・2バルブ
気筒数配列: 単気筒
総排気量 : 49cm3
内径×行程:39.5mm×40.2mm
圧縮比:12.0:1
最高出力 :3.3kW(4.5PS)/8,000rpm
最大トルク:4.1N・m(0.42kgf・m)/6,000rpm
始動方式:セルフ・キック併用式
潤滑方式 : ウェットサンプ
エンジンオイル容量:0.70L
燃料タンク容量:4.5L(無鉛レギュラーガソリン指定)
吸気・燃料装置/燃料供給方式:フューエルインジェクション
点火方式 : TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式: 12V, 3.5〈5.0〉Ah(10HR)/GTZ5S〈GTZ6V〉
1次減速比/2次減速比:n/a/12.321
クラッチ形式:乾式, 遠心, シュー
変速装置/変速方式:Vベルト式無段変速/オートマチック
変速比: 2.850~0.860:無段変速
フレーム形式:アンダーボーン
キャスター/トレール:26°30′/76mm
タイヤサイズ(前/後): 80/100-10 46J(チューブレス)/80/100-10 46J(チューブレス)
制動装置形式(前/後): 機械式リーディングトレーリングドラムブレーキ/機械式リーディングトレーリングドラムブレーキ
懸架方式(前/後): テレスコピック/ユニットスイング
ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ:ハロゲンバルブ/12V, 40/40W×1
乗車定員 :1名