
大人気のレトロスポーツ「Z900RS」には、カフェレーサースタイルのバリエーションモデル「Z900RS CAFE」があります。ビキニカウルやローポジションハンドル、専用シートを装備しますが、新型W800にも同じように「W800 CAFE」がラインナップされました。その乗り味、気になって仕方がありません。じっくり乗り込んできました!!
REPORT●青木タカオ(AOKI Takao) PHOTO●カワサキモータースジャパン、川崎重工業
W800CAFE…1,112,400円

Z900RSにも設定された“CAFE”。ビキニカウルやローハンドルを備えたカフェレーサースタイルはヨーロッパでも人気ですが、新型となったW800にも登場したから驚きます。
だってWといえば、どちからといえばテイスティなエンジンの鼓動感やサウンドを味わいつつ、ノンビリ走るイメージでしたので、カフェレーサーに仕立て上げたのは意外としか言いようがありません。

もちろん、カスタムシーンでは存在しました。軽快なシングルやツインスポーツはそのスタイルがよく似合い、じつは先代の頃からビキニカウルやシングルタイプのカフェスタイルシートなどは純正カスタムパーツとして用意されていました。
なので、ご覧ください。いかがでしょうか、Wにだって似合わさないワケがないのです。


冒頭から突っ走って、次々に話しを進めてしまいましたが、そもそも「カフェレーサーってナニ?」って、人もいるかもしれませんので説明しておきましょう。
発祥は1950年代のイギリス・ロンドンに点在するカフェと言われています。バイクに乗る若者たちが集まり、もっとも有名な人気店が24時間営業をしていた「ACE CAFE LONDON」(エースカフェ ロンドン)でした。
カフェに集まり、公道をレーサーのように飛ばして走る彼ら、あるいはそのマシンこそ「カフェレーサー」です。彼らのオートバイは、当時人気を博していたグランプリロードレーサーをモチーフにカスタムされ、空力を向上するビキニカウルや前傾姿勢となるローハンドル、そしてシングルシートが備わっていました。
そのスタイルは、いつの時代もカスタムシーンで根強く人気があり、ひとつのジャンルを築くほどにポピュラーといっていいかもしれません。カスタムシーンにも敏感なカワサキは「Z900RS」に続き「W800」にも、その伝統的スタイルを融合させたのです。

アグレシッブなスポーツライディングが堪能できる

そのライドフィールは「W800STREET」とはまた違うものでした。アップハンドルで操るストリートは、大らかでゆったりとした「Wらしい」「昔ながら」と言っていい乗り味ですが、カフェはよりスポーティでカラダを積極的に動かしてライディングするレーサー的な側面も持ち合わせています。

クラブマンスタイルのM字形状のハンドルバーが前傾気味のライディングポジションを生み出し、フロントへの荷重がより増加。もちろん前輪に対するウェイトの掛け方は前後17インチほどではありませんが、現代のスポーツバイクを操るような感覚も味わえてしまうのでした。

フロント19インチを前後18インチにし、メインフレームやスイングアームも剛性を上げて刷新したニューシャーシ。それに合わせるようにフロントフォークのインナーチューブ径も39→41mmにし、スプリングもハード気味に。キャスター角を1度立てた26度にし、トレール量は108→94mmになっています。

新型W800はリム幅も太くなって、安定感が増しただけでなく、コーナーアプローチでの軽快感も強まりましたが、向上した運動性能を余すことなく「W800カフェ」は堪能できるのでした。
パワーアップしたが、ノンビリ派にはより心地良く

バーチカルツインエンジンもパワーアップが図られ、最高出力を4PS引き上げて52PSに。62N.mの最大トルクは先代と変わりませんが、2500rpmと低かった発生トルクを4800rpmに引き上げ。ミドルレンジから上の伸びやかさも増し、エンジンを引っ張り上げて乗ることもできるようになっています。

360度クランク、ロングストローク設計ならではの味わい深き鼓動感は健在で、排気音もより力強く良質なものに。ノンビリ走っても心地良く、ときにはカフェレーサーのようにアグレシッブにスポーツライディングを楽しむこともできるのでした。
これはカワサキからの新しい提案であり、根強い人気を誇るWシリーズにフレッシュな風を吹かせています。オールドスタイルにとらわれない新感覚が、また新たなWファンを増やすはずです。
カフェレーサースタイルではない、アップハンドル仕様の「W800ストリート」の試乗記もあります。まだ読んでいない人は、ぜひご覧ください!!
