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すでに実用化されていた! シェフラーのバイワイヤークラッチ


日本では、MT車が絶滅危惧種とも言われているが、欧州では未だMTの比率は高くドライバーの支持も根強い。そんなMTと自動運転を共存させるメカを「人とくるまのテクノロジー展 横浜 2019」で見つけた。




TEXT&PHOTO@高根 英幸(Hideyuki TAKANE)

 日本の自動車メーカーの中でもマツダは、MT車の設定を積極的に行なっているメーカーだ。クルマの運転が人を元気すると信じ、それを高めるべくドラポジや視界、操作系のフィールなど、さまざまな要素に磨きをかけている。MTはオートバイと同じく、四肢全てを駆使して運転操作することから、より脳を活性化させるという説もあるのだ。




 そのいっぽうで、MTはADASとの連携が問題視されているから、スバルのように見切りをつけてATに一本化してしまう動きもある。マツダは開発中の自動運転も、万一の体調急変時などに安全な場所まで走行し、救急に自動連絡するコパイロットとして搭載する方針だ。




 となるとMTとコパイロットを両立させるには、MTの操作系をバイワイヤー化するしかない。




 アクセルとブレーキはすでにバイワイヤー化されているが、クラッチはまだ採用されているクルマなど聞いたことがなかった。ところが今年の人テク展で、クラッチ・バイ・ワイヤーを見つけた。メガサプライヤーのひとつ、シェフラーのブースにデモ機が展示されていたのである。




 展示されていたE-Clutchと呼ばれるバイワイヤークラッチは、ペダルを踏み込んでみても違和感はなく、同じくバイワイヤー化された想定のMTのシフトノブと組み合わされて、普通にMT車の操作感を再現できそうだった。




 しかも何と、すでに採用されている量産車があると言うのだ。それは中国の自動車メーカーで、日本には輸入されていない。中国でMT車の人気が高いのかと言うとそれほどではなく、どうやら採用の理由は世界初の機構採用にこだわったことらしい。




 シェフラーのE-Clutchには、MTプラスというクラッチの踏力をアシストするのが目的のタイプ、クラッチペダルとマスターシリンダーが機械的につながっていないクラッチ・バイ・ワイヤータイプ、クラッチペダルを廃したECMタイプと呼ばれる2ペダルの、3タイプの構造が設定されている。シフトノブもバイワイヤーなのでDレンジにして自動的にシフトするモードも用意されていた。




 ともあれクラッチ・バイ・ワイヤーは技術的には確立できている。これでADASとの連携問題はクリアできそうだ。残るはシフトフィールなどの官能部分。これはこれで煮詰めが難しい領域ではあるのだが。

クラッチペダルを踏むとマスターシリンダーのアクチュエータが作動して、クラッチのレリーズベアリングの先に付いている円柱型のスレーブシリンダーが伸びてクラッチを切る。

ペダル部分の構造。ストロークセンサーはペダル支持部分に組み込まれているようだ。反力を発生させるスプリングの内側には、踏み応えを再現するためのダンパーが内蔵されている。

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