ほとんどのカーナビ、カーナビアプリで利用ができる「VICS」。渋滞情報を得られる欠かせない機能だが、仕組みやシステムを知っている人は意外に少ないのでは?
REPORT●浜先秀彰(HAMASAKI Hideaki)
3つの方法で情報を提供している
VICSとは道路交通情報通信システム(Vehicle Information and Communication System)の略で、おもにカーナビなどの車載端末機向けに渋滞情報を提供。FM多重放送(VICS WIDE)、光ビーコン(高度化光ビーコン)、電波ビーコン(ETC2.0)の3種類がある。
FM多重放送は一般道、高速道路の広域情報をFM波を利用して配信するもので、NHK FMが受信できる場所であれば情報取得が可能だ。2015年からは情報量を大幅に増やしたVICS WIDEへと進化(受信は対応機種のみ)しており、分岐方向別の旅行時間情報やタクシーの走行データを基にしたプローブ情報の提供を実現。また、従来からのVICSでは大津波警報をポップアップで、気象などに関する特別警報を文字情報で提供していたが、VICS WIDEではこれに火山噴火を加えた特別警報をポップアップで提供する。さらにゲリラ豪雨にも対応し、運転に支障をきたす1時間に50mm以上の降雨エリアを多角形でカーナビの地図上に表示することが可能だ。
光ビーコンは一般道の狭域情報を主要道路の路上に設置されている光ビーコン送信機にで配信するもの。近ごろは高度化光ビーコンへと進化をしており、信号切り替わりのタイミングなどを知らせる信号情報活用運転支援システムを利用できるようになっている。光ビーコン、高度化光ビーコンともに情報取得にはカーナビにオプション設定されている専用受信機が必要。
そして電波ビーコンは高速道路の狭域情報を高速道路の路上に設置されている電波ビーコン送信機で配信するものだが、順次ETC2.0へと置き換えられている(電波ビーコンによる情報提供は2022年3月末まで)。ETC2.0は高速道路料金決済ができるETC2.0車載器で受信を行うもので、進行方向200kmの情報が取得できる。
いずれの方式でも提供される内容は基本的に同じで、最新カーナビの多くはVICS情報を基にした渋滞回避ルート探索が可能だ。
このほか通信機能を備えたカーナビやスマホ向けのカーナビアプリは、サーバーからインターネット経由で情報を取得。これはオンデマンドVICSと呼ばれ、独自の渋滞情報を加えたうえで配信をしていることも多い。