トヨタのミニバン、SUV、商用車などの完成車製造に加え、福祉車両などの架装も手掛けているトヨタ車体。同社では新規事業として、植物由来の素材を強化繊維に用いた射出材料の開発・製造を展開している。
PHOTO&REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)
スギの間伐材から補強材となる繊維を取り出してポリプロピレン(PP)と溶融混練した射出材料「TABWD」(タブウッド)は、植物繊維により補強効果が得られるため、熱可塑性樹脂のみの場合よりも強度・耐熱性が向上。また、ガラス繊維やタルクを補強材に用いた場合よりも軽量に仕上げられるのも特徴だ。
過去にもランドクルーザーのフォグランプブラケットや、アルファードハイブリッドのワイヤーハーネスプロテクターなどに採用されている。
そして、今年2月にフィリピンで初公開され東南アジア各国で販売されている新型ハイエースのバッテリーキャリアにも、このタブウッドを採用。従来品より10%軽量化されたというその実物を展示した。
さらには、この新型ハイエース用バッテリーキャリアを、セルロースナノファイバー(CNF)とPPとの射出材料に置き換えて製造した試作品も参考出品。
パルプを補強材の原料とするこちらのバッテリーキャリアは、タブウッド+PP品よりもさらに13%軽量化されており、実際に持ち比べてみるとその数値以上に軽く感じられた。