豊田合成は、青色LEDの材料である「窒化ガリウム」 (GaN)の結晶化技術を用いて開発中の「縦型 GaN パワー半導体」において、世界最高水準となる 1 チップ で 100 アンペアの大電流動作を実現した。
パワー半導体は電力を変換する電子部品で、クルマや家電、産業機器などで幅広く使われている。電機のオン/オフの切替(スイッチング)などにより電圧や電流、周波数などを変換するのだ。現在、 電動車の普及や再生可能エネルギーの利用拡大にともなって高性能化が求められているが、従来の材料で あるシリコン(Si)では大電力の効率的な変換が限界に近づいていることが課題だった。
豊田合成は材料として耐圧性に優れる「窒化ガリウム=GaN」を使用することに加え、電気を基板に対して垂直に流す「縦型構造」 を採用し、薄型・小型化などを図ることで性能を高めてきた。
今回、新たに GaN 結晶内に「電流分散層」を導入することで、電流を耐圧維持層に広げて抵抗値を下げ、 電流容量を従来の 50 アンペアから 100 アンペアに高めることに成功した。なお、この技術については、 2019 年 5 月に上海で開かれたパワー半導体の世界最大の国際会議(ISPSD)で発表した。