日本ピストンリングの主要商品は、(当然のことながら)ピストンリングだ。また組立式焼結カムシャフトや、シリンダーライナーなどでも知られている。いずれも内燃機関で使われる部品である。そんな同社が今回の展示会では、内燃機関とは関係のない部品を展示していた。
TEXT:川島礼二郎(KAWASHIMA Reijiro)
内燃機関の進化に貢献してきた日本ピストンリングが、これまでに培ってきたコアテクノロジーである焼結技術を活用した製品を展示していた。それが3D形状圧粉コアを採用したアキシャルギャップ型高トルクインホイールモーターだ。
開発されたモーターはマイクロEVや車椅子の左右後輪に搭載される前提で研究開発が進められている。自動車の電化を見据えて2000年頃より検討を開始し、2010年より実際に開発を開始したもの。
焼結技術が活かされているのはモーター内のコア=鉄心である。ここに鋼板コアではなく、圧粉コアを採用している。圧粉コアは、鋼板コアと比較して形状自由度が高く、過電流損失が小さく、等方性磁路形成が可能、という特徴がある。そして製造工程で焼結技術を活かせるというメリットも同社にとって魅力だったようだ。ローターコアとステーターコアに、この圧粉コアを採用してモーターに組み込んでいる。こうして開発されたモーターは、高トルクによるダイレクト駆動が可能。ギアレス化による機械損失の低減・ギア音削減も実現する。
低速・高トルク駆動用途品なので、マイクロEVや車椅子、カートへの採用を目指している。