ベアリング、油圧機器、カーハイドロリクスに特殊鋼など、自動車業界の幅広い分野で重要な位置を占めている不二越。そんな同社のブースで注目を集めていたのが、複列4点接触玉軸受だ。
TEXT:川島礼二郎(KAWASHIMA Reijiro)
転がり軸受へのトルク低減要求が高まっている。円錐ころ軸受では内輪つば部で滑り抵抗が大きくなる。単列玉軸受では支持剛性が不足する。そこで支持剛性を確保しつつ、円錐ころ軸受に対して大幅なトルク低減を可能にする、複列4点接触玉軸受が開発された。
円錐ころ軸受は高剛性だがトルクは大きい。深溝の玉軸受は点接触なのでトルクは小さいが剛性が低い。複列4点接触玉軸受は、深溝玉軸受に対して、複列化することで、より高剛性となる。4点接触構造なので差動すべり抵抗やスピンは大きくなってしまいそうだが、そこは接触角や軌道曲率、内部隙間などを最適設計することで、低トルクを実現している。
複列4点接触玉軸受は、元々はデフサイド軸受を低トルク化するために開発された製品であるが、それ以外の部位でも、円錐ころ軸受に対しての低トルク化や深溝玉軸受の小型化が可能となるはずだ。
将来は今より更に、駆動系ユニットにも電費改善が求められるに違いない。ならば軸受の低トルク化は避けられない。複列4点接触玉軸受に注目が集まる由縁だ。