
好調なセールスを誇るヤマハのスポーツクォーターが3月28日に新発売されたのは報告済み。モーターファン.jpでは4人のライダーによるサーキットインプレをお届けしているが、今回は600kmを超える距離をじっくりと走り込んできた。
REPORT⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO⚫️山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
試乗車は光の加減で多彩な表情を魅せるつや消し、マットディープレッドメタリック3。ヤマハ・YZF R25……599,400円
ヤマハ・YZF R25 ABS……642,600円
ディープパープリッシュブルーメタリックC | マットブラック2 |






若くオシャレな印象だったR25は、今回のマイナーチェンジでグッと大人びた雰囲気になっていた。マット(艶消し)カラーにもよるが、新作のフルカウルやタンク&タンクカバーデザインは250とは思えない立派なボリューム感を漂わせている。
フロントにはゴールドのφ37mm倒立式フォークを採用。剛性向上に対してトップブリッジは肉抜きされた専用開発部品に換装されてバランスがとられたと言う。
カウルやスクリーンは、単なる意匠変更ではなく、エアロダイナミクスを徹底追求したデザインに熟成。しかもMotoGPマシンに通じるイメージのフィードバックにも抜かりは無い。
左右にワイドなデュアルヘッドランプは、ポジションランプと共にLED化され、中央に口を開けた吸気ダクトと共に相変わらず精悍なフロントマスクを魅せる。
水冷ツインカム2気筒の搭載エンジンや駆動系は従来通りだが、見た目の印象は大きく進化しており、シニア層も含めた幅広いユーザーに訴求できる柔軟かつ上質な商品性が備わっていると感じられた。
今回のモデルチェンジによって3万円ほど価格が上がったが、倒立式フロントフォークの装備を考えれば割高には感じられない。
むしろ従来モデルにはあった、手を加えたいと思える部分が少なくなった熟成ぶりに改めて魅力を覚えた。
何気なく走行距離が伸びるのは、楽しさと快適性の証。

早速跨がると、ライディングポジションは従来通りスマートに決まる。しかし少し車格が大きくなった感じ。僅差ではあるが、上体の前傾度合いも強められていた。
タンクの幅が31.4mmワイドになり、トップ位置は20mm低い。そしてハンドル位置が22mm下げられたと言う。車体サイズや重さはほとんど共通ながら、ひとクラス上のバイクに乗るような雰囲気を覚えるから不思議だ。
スポーティな雰囲気は相変わらずで、身体の筋力を使って走ることにワクワクさせられ、ワインディングロードでも一体感のある走りが楽しめる。 郊外や高速道路をクルージングする時でも全身の筋力を活用しながらワクワク気分で走れると尻への体重負担も軽減されて、ロングランも快適にこなせてしまう。
今回箱根や栃木、そして撮影と連日走らせたが走行距離は難なく600kmを超えていた。
低速域からよく粘るエンジンは、住宅街や市街地のノロノロ走行でも扱いやすい。どの回転域でもスロットルレスポンスに優れ、遅滞無くスムーズに加速を始める乗り味は活き活きとしている。
スロットルをワイドオープンすれば、1万4000rpmからのレッドゾーンへも難なく吹き上がる。もっとも回転上昇の勢いは1万rpmオーバーで緩くなるので、実質的には1万rpm当たりまでが効率良い感じ。引っ張ったとしてもせいぜい1万2000rpmで早めにシフトアップする方が有効である。
タコメーターは5000rpm迄が200rpm刻み、それ以上は100rpm刻みで精細表示される。トルクは5000rpmあたりからもりもりと力強くなり、7500rpm前後が一番頼れる感じで元気良く走れる。
ちなみに6速トップギヤ100km/hクルージング時のエンジン回転数は7200rpm。120km/hなら8600rpmになる。個人的にはより静かなクルージングを期待してもう少しハイギヤードな設定を望みたいところではあった。
カチッと固い確かな操舵レスポンスを発揮するグッドハンドリングは好印象。あえて比較するとリヤサスペンションも熟成したいと思えてきたのが正直なところだが、ダンパーの利き具合はなかなかの優れもの。
直進安定性に優れた乗り味は快適で、自然と走行距離が伸びてくる。ついでに峠のワインディングロードを目指して寄り道して行きたくなるから尚更であった。
なお、約600km走行した実用燃費率はトータルで34.2㎞/L。流れの遅い高速と郊外を走った時は37.9km/Lをマークした。
⚫️足つきチェック(ライダー身長170cm)
 | 780mmのシート高に変更は無い。乗車位置は車体がスリムにデザインされていて、ご覧の通り膝に余裕を持って両足はべったりと地面を捉えることができる。足を着くとステップの先端が軽くふくらはぎに当たる。 |
⚫️ディテール解説
エアロダイナミクスに基づいて新設計されたカウルデザインは、新鮮な艶消しカラーと相まって大きく立派に見える。デュアルヘッドランプはボジションランプ共々LED方式に変更された。
フロントブレーキは6点でフローティングマウントされるシングルディスク。油圧ブレーキキャリパーはデュアルピストンのピンスライド式をマッチ。
パワーユニットのほとんどがカバーリングされる新デザインのフルフェアリング。搭載エンジンは水冷ツインカム4バルブの燃料噴射式。基本的に変更は無い。
右サイドにアップされたブラックマフラー。リヤのシングルディスクブレーキには、1ピストン、ピンスライドタイプの油圧キャリパーが採用されている。
リヤサスペンションはリンクを持たないモノクロス式。ショックユニットのすぐ前方にはABSの制御ユニットが配置されている。
トップブリッジの下側にクリップオンされるセパレートハンドル。トータルでの剛性バランスを考慮して、肉抜きされた新作トップブリッジを組み合わせている。 左側のハンドルスイッチは、上からディマー、ホーン、ウインカーの順にレイアウト。中段のホーンボタンはやや遠い位置にセット。ウインカーはプッシュキャンセル式。パッシングスイッチはスイッチボックスの背面側、人差し指で扱う。 | 右側のスイッチは赤と黒のふたつ。赤はキルスイッチとセルスターター兼用のスイッチで、手前にスライドしてセルモーターを回す。下の黒いスイッチは横スライドでONするハザードランプ用だ。 |
タコメーターのアナログ表示が廃止され、フル液晶の大型デジタルメーターを採用。上方を右側に伸びるバーグラフタイプのタコメーターは、高精細表示される。 前後に明確な段差を設けたセパレート式のダブルシートは、レーサーレプリカ系にならったデザインである。前シートクッションは前方がスリムにデザインされ足つき性の良さに貢献。 | リヤシートを取り外したところ。収納スペースと呼べるほどではないが、ETC機器等が納められる若干のスペースが空けられている。車載工具はシート裏面にゴムバンド固定。 |
シャープなフィニッシュを魅せるヒップアップテール。ストップ&テールランプはLEDだが、クリアレンズのウインカーは普通のオレンジバルブが採用されている。◼️主要諸元◼️
YZF-R25 〈 〉内はYZF-R25 ABS
認定型式/原動機打刻型式 2BK-RG43J/G402E
全長/全幅/全高 :2,090mm/730mm/1,140mm
シート高 :780mm
軸間距離 :1,380mm
最低地上高: 160mm
車両重量 :167kg〈170kg〉
燃料消費率 国土交通省届出値
定地燃費値:37.7km/L(60km/h) 2名乗車時
WMTCモード値 :27.2km/L(クラス3, サブクラス3-2) 1名乗車時
原動機種類 :水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ
気筒数配列 :直列, 2気筒
総排気量: 249cm3
内径×行程: 60.0mm×44.1mm
圧縮比: 11.6:1
最高出力 :26kW(35PS)/12,000r/min
最大トルク: 23N・m(2.3kgf・m)/10,000r/min
始動方式 :セルフ式 セルフ式
潤滑方式 :ウェットサンプ
エンジンオイル容量: 2.40L
燃料タンク容量: 14L(無鉛レギュラーガソリン指定)
吸気・燃料装置/燃料供給方式: フューエルインジェクション
点火方式 :TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式:12V, 7.0Ah(10HR)/GTZ8V
1次減速比/2次減速比 :3.043/3.071
クラッチ形式 :湿式, 多板
変速装置/変速方式: 常時噛合式6速/リターン式
変速比: 1速:2.666 2速:1.882 3速:1.454 4速:1.200 5速:1.037 6速:0.920
フレーム形式 :ダイヤモンド
キャスター/トレール:25°00′/95mm
タイヤサイズ(前/後): 110/70-17M/C(54S)(チューブレス)/140/70-17M/C(66S)(チューブレス)
制動装置形式(前/後): 油圧式シングルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ
懸架方式(前/後): テレスコピック/スイングアーム
ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ:LED/LED
乗車定員 :2名
◼️ライダープロフィール
元モト・ライダー誌の創刊スタッフ編集部員を経てフリーランスに。約36年の時を経てモーターファンjpのライターへ。ツーリングも含め、常にオーナー気分でじっくりと乗り込んだ上での記事作成に努めている。