最新のエンジン技術の話題のひとつは、ガソリン用VGターボだ。VGとは可変容量=Variable Geometry、Variable Nozzleなど、各社で呼び方は違うが、タービン側につけたベーンを絞ることで低負荷域や中間域で排気の流速を高めタービンの回転数を上げることができる。結果、小さなターボを使ったのと同じ効果があり、低速トルクとレスポンスが良くなるという効果がある。
VGターボは、ディーゼルエンジンでは一般的だ。ガソリンターボで普及しない理由は、ディーゼルより排気温度が高く、VGターボの可動部分に特殊で高価な合金を使う必要があるからだ。
これまでガソリンターボでVGターボを使ってきたのは、ポルシェ911ターボ、そして718ボクスターSと 718ボクスターSの2.5ℓ水平対向4気筒ターボだけだった。
高価なスポーツカーであるポルシェの場合は、高価なターボチャージャーを使っても問題ない(!?)のだが、それでは一般の車両には広がらない。
その通例を破ってガソリンエンジンにVGターボを採用したのが、VGだ。VGのライトサイジング過給エンジンであるEA211 1.5TSI evoで、「量産車初のガソリンVGターボ採用」が実現したのだ。サプライヤーはハネウェルのようだ。
とはいえ、ポロTSI R-Lineに搭載して日本導入されたEA211 1.5TSI evoにはVGターボが採用されないなど、まだまだ「一般的」になったとは言えない状況だ。
通常のガソリンターボにVGターボを採用する場合は、ミラーサイクルと併用して排気温度を下げることで、あまり特殊な合金を使わないVGターボ(=そんなに高価ではない)を使えるようにするという方法が考えられる。
ターボメーカーが取り組むのは、排気の対応温度の上限を少しでも上げていく技術開発だ。高い排気温度に対応できるガソリン用VGターボができれば、一気に採用が広がる可能性があるからだ。ガソリン用VGターボの開発は、ハネウェル/ギャレット、ボルグワーナー、三菱重工、IHIの大手のほかにもBMTS(ボッシュマーレターボシステム)なども開発を進めている。
上海モーターショーの会場でガソリン用VGターボをいくつか見つけたので、レポートしよう。