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ロータリーはどうなった? マツダの中期経営方針資料から読み解く直列6気筒+FRプラットフォーム


噂に上がっていたマツダの「直6エンジン+FRプラットフォーム」の存在が決算説明会の場で正式に認められたといえるだろう。では、なぜFRなのか、どのモデルなのか? ロータリーはどこへいったのか?

 マツダは5月9日に行なった2019年3月期の決算発表で、直列6気筒ガソリン/ディーゼルエンジンと縦置きアーキテクチャー(パワートレーン)を市場に投入する予定であることを明らかにした。


 まずは、マツダが直6エンジン+FRプラットフォームを開発するわけを探っていこう。




 マツダの2018年4月〜2019年3月期の実績は次の通りだ。


世界販売:117万台


売上高:2兆6226億円


営業利益:596億円




 ちなみに、同期のスバルの実績はこうだ(項目が違うので参考程度に)。


世界生産:98万9000台


売上高:3兆3100億円


営業利益:2600億円




 である。


 自動車メーカーの売上高には、自動車販売以外にも特許収入やサービス、不動産収入などもあるだろうから非常に大雑把にしかいえない。が、販売台数に対する売上でスバルに水をあけられているのは事実。また、マツダの営業利益率は自動車メーカーのなかでも低いのも事実だ。


 これを上げていくには、商品を高価格帯へ移行させる、販売台数を増やすという方法が考えられる。両方を組み合わせるのが一般的だろう。




 発表になった中期経営方針で2025年3月期指標が発表されている。




売上:約4兆5000億円


販売台数:約180万台




 とある。


117万台/2兆6226億円


から


180万台/4兆5000億円







 ということである。これを乱暴に純粋に1台あたりの売上で比較すると


2019年3月期:1台=約224万円


2025年3月期:1台=約250万円




 で、クルマ1台あたり約15%の価格アップということになる。現行ラインアップの車両価格を15%上げたうえで、プラス63万台さらに売らなければ達成できない目標だ。これは非常に難しい。なぜなら、低価格なAセグ、Bセグ、一般的なCセグメントでは、コスト競争力に優れた中国などの新興国メーカーの存在感が増していくからだ。




 ではマツダはどうするか?


 その答えが「Largeアーキテクチャー」の投入だ。

この夏以降に欧州から順次投入されるCX-30。これはSmallアーキテクチャー(つまりFFベース)のモデルだ。

マツダは、


Smallアーキテクチャー:


◎マツダ2(デミオ。次期モデルから)


●マツダ3(発表済み)


●CX-30(発表済み)


◎CX-3(次期モデルから)


△CX-4(中国向け。次期モデルを開発するかは不明)


◎CX-5(次期モデルから)


までをSmallアーキテクチャーで造る計画なのだろう。




Smallアーキテクチャー


=エンジン横置き(前輪駆動ベース)


SKYACTIV-Gのアップグレード版(G1.5/G.2.0/G2.5/G2.5ターボ)とそれに24Vマイルドハイブリッド(競争力次第では時期を見て48V化すると予想する。なぜなら、Largeアーキテクチャーのマイルドハイブリッドには当初から「48V」と記されているからだ)


SKYACITV-X


SKYACTIV-Dのアップグレード版(D1.8/D2.2)


そして独自のEV




 でいくのだろう。

コンセプトカーのVISION COUPE

 では、Largeアーキテクチャーは?


Largeアーキテクチャーは


=エンジン縦置き(後輪駆動ベース)でAWD化も含む


直列6気筒SKYACTIV-X


直列6気筒SKYACTIV-D GEN.2


48Vマイルドハイブリッド


プラグインハイブリッド




 と記されている。もちろん、アライアンスを組むトヨタのFRプラットフォーム(TNGA GA-Lプラットフォーム)を使うのではなくマツダ独自開発だ。




 このLargeアーキテクチャーを採用するモデルは


◎マツダ6(おそらく今年のLAショーでお披露目)


◎CX-8(次期モデルから)


◎CX-9(次期モデルから)


という既存モデルのフルモデルチェンジでLargeアーキテクチャーが採用されるはずだ。




 そして、


 VISION COUPEの名前で前回の東京モーターショーでコンセプトカーを披露した




◎フラッグシップ4ドアクーペ




 に直列6気筒エンジンを搭載することになるだろう。マツダ100周年に合わせて2020年には姿を見せるはずだ。




 マツダが思い描くプレミアム路線に絶対必要なのが、「Largeアーキテクチャー」なのだ。

RX-VISION。登場は前々回の東京モーターショーだからすでに4年の歳月が経った。どうなったのか?

 そして、マツダファン、カーマニアの夢と言っていいロータリーエンジン搭載のスポーツカーについてはどうだろう?




 今回の決算説明会では言及されなかったようだ。一部報道では、ロータリーエンジン搭載のレンジエクステンダーの発売を先延ばしにした、とあった。これもSmallアーキテクチャーの説明に、「レンジエクステンダー」の文字がなかったことから事実なのだろう。




 すべてを情報を決算説明会で開示するわけではないから、ロータリーエンジン搭載搭載の「RX-VISION=RX-7?」の可能性が消えたわけではないと思う。2020年の100周年記念のサプライズで登場という可能性もないわけではない……。いずれいせよ、鍵を握るのは、ロータリーエンジンの開発状況なのは間違いない。




 また、FRのロードスター(とフィアット124スパイダー)の行方とこのLargeアーキテクチャーとの関連も気になるところだ。

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