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新型トヨタ・スープラは、歴代スープラを乗り継いだ俺様を満足させられるのか?


まあ、歴代といっても国内でセリカXX(ダブルエックス)と呼ばれてた初代と二代目は除く、先代と先先代の2台ですが……。然るに、A70とA80を新車で買ったオーナーであったことに嘘偽りはない。しかも “ええとこのボンボン”の友人が乗っていた二代目は何度か運転させてもらったこともある。そんな自称スープラを良く知る俺様を、新型スープラくんは満足させてくれるのか? まだ実車も見てはいないが、少々想像してみよう。

アメリカンなラグジュアリからピュアスポーツに変貌した三代目

直6/3.0ℓの7M-GTEを搭載したMA70後期のターボS。直6/2.0ℓの1Gエンジンを積んだモデルに対してブリスターフェンダーで車幅が拡大されたワイドボディとリトラクタブルライトがカッコいいっす。(自画自賛?)


 自分の実体験を基に言わせていただければ、国内で正式にスープラと名付けられた、セリカXXから数えて三代目の70スープラは、1980年に追加された2.5ℓツインターボの1JZ-GTEを搭載したJZA70を境にキャラクターが変わっている。




 それまでの70スープラは、コクピットのデザインや消しゴムみたいな大雑把な形のインパネスイッチ類から見てもわかるように、完全にアメリカンな雰囲気。


実際筆者が載っていた7M-GTE搭載のスポーティグレードである「ターボS(ターボAではない)」でも、そのサスセッティングもフワフワな乗り心地の、スポーツカーというよりもGT(グランドツーリング)カーのそれだった。(良く言えばネ)




 エンジンも単に排気量をストロークで稼いだ、昔ながらのロングストロークエンジンでもっさりとした特性。




 が、件のJZA70はショートストロークにツインターボを装着したレスポンスとパンチのあるスポーティなエンジンで、これにビルシュタインのショックが組み合わされて、大柄なボディながらキビキビと走る、びっくりするほどの「キャラ変」が行なわれた。




 筆者の場合、デートグルマとしてA70を買ったので問題はなかったのだが、新車で買った一年後にこの大変貌を遂げたわけで、ちょっと悶々としていたのは事実。

70の外観は良い意味でアメリカンですが、内装の大味なデザインは悪い意味でアメリカン。メーター類は別にいいんですが、この写真ではステアリングで隠れていますが、ハザードやフォグランプなどのスイッチは大きめの消しゴムくらいのサイズと形でカッコ悪かった……。
スープラはトヨタのフラッグシップスポーツカーとして、往年のトヨタ2000GTを想起させる3000GTというネーミングや、写真の七宝焼き風エンブレムなどを装着していました。


四台目スープラのマッシブな外観と圧倒的な大トルクにイチコロ!

納車間もなくの頃は、街中ではかなり注目され、多くの視線を感じました。純正とは思えないほど大きなリヤスポも自慢のひとつ。

同じディーラーでスープラを購入した、某航空会社のCAさんと一緒にツーリング……やっぱりまだバブルの模様。
意気揚々と新車の80スープラを運転するワタクシ。左腕にスウォッチとミサンガです。The 90’sです(爆)


 そして、四代目の3.0ℓターボ2JZ-GTEを積んだJZA80は、その流れを汲んだピュアスポーツカーとして誕生した。




 しかも、引き続きアメリカ人が好きそうな典型的なロングノーズ・ショートデッキを踏襲しつつも、A70に比べ全長が100mm、ホイールベースが45mmも短縮されているので、その挙動は推して知るべし。


前述の2JZ—GTEは当時の自主規制で最高出力はライバルと横並びの280psながら、最大トルクが40kg-mと正に溢れんばかりの大トルクで、ノーマルでもまあ刺激的な加速を披露してくれた。




当初乗り換えるつもりはなかったのだが、当時は実家暮らしの独身貴族だったことと、ちょうど車検時期だったこともあり、一目惚れした80を衝動買いしてしまった。




超巨大なリヤスポイラーのカッコ良さにヤラレてしまったのだ。




で、JZA80は、スポーツマフラーとむき出しタイプのエアクリーナーを装着し、ブーストコントローラーで過給圧アップしていたのだが、このライトチューンでトルクは300数十馬力/トルク60kg-m代に到達するほど。




お手軽にこんなにパワーアップしてしまう潜在能力の高さも四代目の魅力のひとつだった。




と、旧型を不振り返っておったら、すっかり話が長くなってしまったが、こんなスープラオタクの私が新型にどんな期待をしているかを、ここから改めてお伝えしようと思う。

トヨタが威信を賭けて再登場させた新型スープラは期待大だ!

 長々とした、ワタクシの旧型自腹インプレッションを披露し終わったところで、ようやく新型の話だが。


もちろん20年近く時が経てば、成熟した自動車の性能は比べ物にならないくらい高まっているハズ。




と、その前に自動車の基本としてのディメンションを確認してみよう。80比のディメンションは全長が−140mm、全幅+55mm、全高+15mm、ホイールベースが−80mmと、70→80以上にワイド&ショートになっている。




運動性の味付けをする上でも、セッティングの自由度が高く、思い通りの挙動が与えやすいだろう。ここら辺は「ホイールベース、トレッド、重心高の3つの基本要素にこだわり、ピュアスポーツカーに相応しいハンドリング性能を実現しました」とトヨタさんが言っているので期待が高まる。




サスペンション形式はA70&80は前後Wウィッシュボーン。対してA90はBMWの流儀によってフロントストラット、リヤマルチリンクだ。




スペック原理主義の人からすれば、「えー?Wウィッシュボーンじゃないの」なんて声が聞こえそうだが、ストラットだからWウィッシュボーンより性能が劣るなんてことはないので、そんなこたあ、気にしない。




と、基本の素性は歴代以上にスポーティなことがわかった。




さらに80はスピンを予知するとサブスロットルが閉じて出力を抑制する程度のトラクションコントロールで、スポーツドライビングの邪魔でしかなかったが、A90を名乗る新型スープラは最新の電子制御で姿勢が制御されているし。




そして、新型スープラの足まわりでの注目ポイントは電子制御デフ。




シャシーの素性の良さに加えて、電制デフでコーナリング特性の味付けが自在にできるのだから限界性能と安全性は高いことが想像できる。




まあ、ここら辺は20年も前のクルマと比べるまでもないが……。



 A90のエンジンラインナップは3.0ℓの直6DOHCターボ(340ps/51.0kg-m)と2.0ℓ直4DOHCターボが仕様違い(197ps/32.6kg-mと258ps/40.8kg-m)で2種類ある。




2.0ℓもきっと3.0ℓより鼻先が軽いだろうから、乗ってみればスポーツカーとしての楽しさはあるだろう。だが、スープラ乗りとしては直6以外の興味は湧かないので、そちらは今の所チラ見スルーしておこう。


(とは言いつつ、「スープラ」としてではなく、スポーツカーとして考えたら4発もスルーできる存在ではないですけど。)




と、偉そうなことを言ってはみたが、正直70の7M-GTEにしろ80の2JZ-GTEにしろ、トヨタの3.0ℓ6気筒エンジンは、滑らかに吹け上がるとか、官能的な高回転の伸びとか、「味がある」趣とは無縁のシロモノだった。




 なので、BMW製の6気筒搭載はパワー&トルクの動力面だけでなく、そのフィーリングも楽しみ。




パワーウエイトレシオはA90が4.47kg/ps、A80のMTは5.39kg/ps。車両重量が新型の方が10kg重いだけで、パワーは+60psなので、言わずもがな、でしょうか?




そして、次はミッション。




機械を操る楽しさを味わう意味ではマニュアルミッションは存在意義がある。




けれどA90はATのみ。設定されればそれに越したことはない。が、ないんだから仕方ない。




ただ、2ペダルは、「クラッチ操作がない分、正確なブレーキングでクルマの挙動をコントロールすることが求められるのでドライビングとして奥が深く、より運転に集中できる」(レーシングドライバー木下みつひろ氏の受け売りですけど......)とも言える。

「supra is back!」豊田章男社長が高らかに宣言し、デトロイトモータショーで新型スープラが発表された

 新型スープラに関しては発売はおろか、発表前からニュル24hレースに参戦もしつつクルマが鍛えられている。




しかもそのニュルで、トヨタ自動車の豊田章男社長が自らハンドルを握ってテストドライブを行い、走りの味付けにも参画したという。




ニュルでクルマを鍛えることはスポーツカーとして定番だが、メーカーのトップが先頭をきって走り、開発されたクルマが過去にどれだけあるだろう?




“なんにも専務”が興味本位でヨレヨレ運転をするのとは訳が違う。




この事実は、スポーツカーをつくり上げるプロセスにおいて、とてつもなく大きいと思う。これだけでもスープラに期待を抱かせる要素と言える。




 クルマ事情に精通した方なら、今回の新型スープラがBMWのZ4との兄弟車だということはご存知だろう。




なので、シフトレバーやリモコンキーがBMWと同じだとか、ウインカーレバーが左にあるとか、そんなトヨタらしくないところに目が行きがちになるかもしれない。




しかし、ここら辺はそもそもこのスポーツカーを新開発しにくいご時世に、できるだけ身近な価格で直6搭載のFRスポーツカーを提供したいというトヨタの決断、英断と言えるだろう。




些細な違和感をあげつらって否定するよりも、どんなファンな走りを見せてくれるのかを期待して待とうではないか!

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