アルファ初のSUV、ステルヴィオに待望のディーゼルエンジン搭載モデルが追加された。アルミ合金ブロックの新開発2.2ℓ直4ディーゼルターボの実力は?ジャーナリスト世良耕太がレポートする。
TEXT &PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)
アルファ ロメオ・ステルヴィオ2.2ターボディーゼルQ4は、なかなか男らしいクルマである。「繊細」とか「きめ細やか」といった表現よりも、「骨太」とか「豪放」といった表現が似合う。大胆で細かなことにはこだわらないキャラクターという印象だ。といって、「大ざっぱ」とか「雑」というのとはちょっとニュアンスが違う。
かつてイタリアで乗ったフィアット・プントのディーゼルはいかにもディーゼルらしいエンジン音を響かせていたが、車格は違っても雰囲気は同じだ。ディーゼルエンジンを積んでいるんだから、「ディーゼルらしい音がして何が悪い」と開き直っているというか、「気にする方がおかしいんじゃない?」と逆にこちらの価値観を疑われている気がしてくる。ちなみに、高速走行時は他のディーゼルエンジン搭載車と同様、ロードノイズや風切り音など、その他の走行音がマスクするため、ディーゼル音を意識することはない。
アクセルペダルを踏み込んだときの反応は最新のディーゼルエンジンらしく、俊敏だ。試乗車の車両重量は1820kgだったが、いかなる走行シチューションでも頼もしさを感じこそすれ、物足りなさを感じることはなかった。100km/h走行時のエンジン回転数は約1500rpm(ZF製8速ATとの組み合わせ)。ステルヴィオと同じエンジンを搭載し、車重が220kg軽いジュリアのディーゼル仕様は最終減速比が異なり、100km/h走行時のエンジン回転数は約1300rpmである。
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クルマの動きも大きく異なる。CX-8はしなやかで、乗り心地がいい。計測して確かめたわけではないので印象での報告になるが、X/Y/Z各軸まわりのモーメント、とくにY軸まわりのモーメント(ピッチ)が絶妙に抑えられ、あるいは制御されており、しなやかだ。そのしなやかさ加減が上質な印象を乗り手に植えつける。
一方、ステルビオは路面のうねりや突起を乗り越えた際の動きを、なかなかダイレクトに乗員に伝える。そこが、骨太とか豪放という表現につながる理由のひとつだ。大げさに表現すれば、アスファルト路面を走っているのに、モーグルを走っている気分である。不意打ちを食らうと腹に響く。
インテリアはアルファロメオ流というかイタリアンテイストというか、感心しながら眺めて過ごした。ダッシュボードには粗いシボが施されている。発泡スチロールを黒く塗ったよう、と書くといかにも安っぽく感じられるが、そんなことはない。どうして、こんな粗いシボをつけて安っぽく見えないのか、という観点で興味が湧く。VWポロに見習わせたい、というのはVWに対する皮肉だ。
センターのディスプレイを挟んで下に位置するパネル(ドアノブまわりも同じ素材)は、炭を連想させる。エアコン吹き出し口やドアノブ、ステアリングホイールにはマット調のシルバーをあしらっている。素材感でいえば、発泡スチロールと炭、それに金属の組み合わせだ。一見、互いに関連のない素材(感)が集まっているが、総じて渋いインテリアとなっている。さすが、と唸らざるを得ない。
ステアリングホイールの中央にあるAFLA ROMEOのバッジだけ妙に質感が高いのも目を引く。これひとつでインテアリアの質感全体を引き上げているように感じた。豪放一辺倒ではない、アルファロメオのクルマづくりに感心しきりのドライブだった。
アルファ ロメオ・ステルヴィオ2.2ターボディーゼルQ4
全長×全幅×全高:4690×1910×1680mm
ホイールベース:2820mm
サスペンション:Fダブルウィッシュボーン式 Rマルチリンク式
エンジン
形式:2.2ℓ直列4気筒DOHCティーゼルターボ
型式:55284529
排気量:2142cc
ボア×ストローク:83.0×99.0mm
圧縮比:15.5
最高出力:210ps(154kW)/3500pm
最大トルク:470Nm/1750rpm
燃料:軽油
燃料タンク:64ℓ
燃費:WLTCモード 16.0km/ℓkm/ℓ
トランスミッション:8速AT(ZF 8HP)
車両本体価格:617万円
GENROQ編集長によるステルヴィオは2.2ターボ ディーゼルQ4の試乗記はこちら
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