東芝デバイス&ストレージは、Ethernet AVB(*1)規格に対応した車載情報通信システム向けブリッジICの製品ラインアップに、製品構成を最適化した「TC9562XBG」、複数のインターフェースに適用可能な「TC9562AXBG」、同製品の性能に加えTSN(*2)規格にも対応した「TC9562BXBG」の3製品を追加した。「TC9562XBG」は、2019年2月からサンプル出荷し、2019年10月から量産する予定。
Ethernet AVBは、リアルタイム性と信頼性の観点で優れた規格であり、車載通信ネットワークへの導入が増えている。東芝デバイス&ストレージは、Ethernet AVB規格のIEEE 802.1AS(*3)およびIEEE 802.1Qav(*4)に準拠し、ギガビットEthernet(10/100/1000 Mbps)に対応したブリッジIC「TC9560シリーズ」を量産している。
一方、自動車の電動化や電子化を背景に、車載通信ネットワークは年々複雑化しており、ネットワークの最適化が求められている。また、車載ネットワークのバックボーンや車載、産業機器の制御用途ではデータをよりリアルタイムに処理することが必要であり、Ethernet AVB規格よりも低遅延でデータを転送できるEthernet TSN規格も注目されている。
同社は今回、EthernetブリッジICの製品ラインアップに「TC9562XBG」「TC9562AXBG」「TC9562BXBG」の3製品からなる「TC9562シリーズ」を追加し、車載機器および産業機器における通信ネットワークの高機能化と利便性向上に貢献する。
「TC9562XBG」は、搭載する機能を絞り込むことで製品構成を最適化し、システムを簡素化できる。「TC9562AXBG」は、従来製品のEthernetインターフェースであるRGMII、RMII、MIIだけでなく、SGMII(*5)にも対応しているため、より広範なシステム構成に適用できる。「TC9562BXBG」は、「TC9562AXBG」の仕様にEthernet TSN 規格のIEEE 802.1Qbv(*6)、IEEE 802.1Qbu(*7)およびIEEE 802.3br(*7)への準拠も追加しており、Ethernet AVB規格の製品よりも低遅延なデータ転送を実現する。
また、新製品は、市場が要求する水準である低消費電力モード時の電力0.5mW(*8)、低消費電力モードからの復帰時間100ms(*8)をターゲットとしている。
なお新製品は、車載ICの品質試験規格AEC-Q100 Grade 3(*9)に準拠予定。
アプリケーション:車載インフォテインメント、テレマティクス、オーディオアンプ、及び産業機器
注1 Ethernet AVB : IEEE802.1 Audio/Video Bridgingのこと。Ethernetの標準技術を使いオーディオやビデオデータを取り扱う規格。
注2 Ethernet TSN : IEEE802.1 Time-Sensitive Networkingのこと。AVB規格より低遅延データ転送を実現する規格。
注3 IEEE 802.1AS : 時刻/タイミングの同期に関する規格。
注4 IEEE 802.1Qav : トラフィックシェーピング(優先するパケットが帯域幅を超えないよう平滑化する機能)に関する規格。
注5 SGMII、RGMII、RMII、MII : Ethernetのインターフェース。SGMII = Serial Gigabit Media Independent Interface;RGMII = Reduced Gigabit Media Independent Interface;RMII = Reduced Media Independent Interface;MII = Media Independent Interface
注6 IEEE 802.1Qbv:スケジュールされたトラフィックに関する規格。
注7 IEEE 802.1Qbu/IEEE 802.3br : フレーム割り込み/超優先転送に関する規格
注8 20℃での結果。同社計測による代表値(typical値)
注9 AEC-Q100 Grade 3 : 自動車業界が策定する集積回路の信頼性認定試験基準