ロードレースでも活躍するパーツメーカー「モリワキ」が1987年(昭和62年)にリリースした、「ZERO-Z50M」というマシンを憶えているだろうか。モンキーのスポーツモデル、「モンキーR」をベースにした、生産台数が数十台という超お宝モデルだ。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
“ZERO-Z”とは、「Z-フレーム」というモリワキ独自の低重心フレームを搭載した(当時はかなり衝撃的だった)、当時活躍していた、モリワキ屈指のレース用マシン(CBR750やCBR400等)のこと。
このZERO-Z50Mは、モンキーRをベースに、ZERO-Zに採用されていた同形状の低重心型フレームを導入しているのが第1のポイント。また、「ZERO-Zのミニチュアモデル」という位置付け通り、スポーティなアイテムが要所に投入されているのもポイントだ。
エンジン、ハンドル周り、ヘッドライト周り、テールランプ周りは、基本的にモンキーRと共通だが、ガソリンタンクやFRP製のサイド&シートカウルは専用ものに変更。
また、フロントの足周りもモンキーRと共通だが、スイングアーム、加えてリヤブレーキは、ブレンボ製キャリパーなどをチョイスしたディスクブレーキ仕様にチューニング。ステップも専用のバックステップに変更されている。
ZERO-Z50Mの2つめのポイントは、レーサーとしてではなく、国の正式な認可を受けた「一般公道車両」であるということ。カスタム元が、いわゆる「バイクメーカー」となるこの審査は当時から厳しく、国内では今も昔も非常に珍しい。
当時の発売価格は49万8000円。生産台数は約50台。現在では滅多にお目にかかれない超お宝モデルとして珍重されている。
なお、写真の車両は、SP武川製スーパーヘッドや乾式クラッチなどで独自にチューニングされている。
モト・チャンプ誌によるスペシャル・コンプリートも存在!
当時「ZERO-Z50Mに、フルカウルを装着して完全にレプリカしよう」と、モト・チャンプ誌のプロジェクトによって完成したのが、写真のマシン。カウルはキタコ製のモンキーR用、フロントキャリパーはフレンボに変更。カウルステーはマルセン製、ハンドルはキジマ製、ステムはSP武川製。