レーザー式オービス、ステルス型レーダー取締機等、警察の速度測定技術は日々進歩しているが、残念ながら、それに100%対応する探知機は、いまのところ市場には現れていない。では、「ステルス対応」、「移動オービス対応」等を謳っているレーダー探知機は、一体、どんな方法で対処しているのか、さっそく調査してみた。
たとえレーダー波やレーザーを事前に受信できても、既に計測済みのリスクは常につきまとう!
レーダー探知機の本来の役目は、警察が行っている定置式速度取り締まり、いわゆるネズミ捕りに使っているレーダー式速度測定器やレーダー式オービスから発信されたレーダー波(電波/10.525GHz)を受信し、それをドライバーに警告することであることは言うまでも無い。が、最近の「レーダー式の速度取り締まり」で使用されている速度測定器は、ほとんどが「ステルスタイプ」。常にレーダー波が発信されているわけではなく、速度違反とおぼしきクルマに対し、その都度、レーダー波を当てているだけに、従来のような「漏れ電波」を拾っての事前対応は非常に困難となっている。なぜなら、受信したときはすでに計測が終わっている可能性が大きいからだ。 また、レーダー式のHシステムも発信されているレーダー波が微弱なため、探知機の性能によっては受信した時は後の祭りというケースもままあったようだ。
さらに、数年前に登場した生活道路対応の移動オービス、センシスSSSに至っては、発信しているレーダー波が従来と周波数が違うため古い探知機では受信不能。ただし、Hシステムを含む従来のレーダー式同様、常時、レーダー波を発信しているから、この周波数帯を捉えられる探知機であれば、捕捉は可能。カタログに「小型移動オービス対応」と書いてある探知機が、このタイプだ。とは言え、それでも受信=計測済みのリスクは、避けることができないことは覚えておこう。
レーザー式オービスのレーザー波を受光できる探知機は、残念ながら現時点では国内には存在せず!
というわけで、今や、レーダー探知機本来のレーダー波探知機能だけでは、警察の速度取り締まりに対して完全に対処することはできない。もちろん、ループコイル式や光電管式に対しては元々、無力ではあったが、さらに、レーザー式の移動オービスが台頭し始めている昨今、レーダー探知機に求められる性能が変わってきている。
そこで、現在、市販されているレーダー探知機のほとんどは、GPSを利用し、あらかじめメーカーにより収集され、格納されたオービスやネズミ捕り他、交通取締ポイントの位置情報をドライバーに知らせて注意を促すという機能を充実させている。例えば、「レーザー式オービス対応」とはいっても、レーザー波を探知して警告をするのではなく、レーザー式オービスによる取り締まりポイントに近づくと、警報を鳴らすという仕組みだ。確かに固定オービスに対しては有効だが、移動オービス情報は今までに取り締まりが行われたポイント情報であり、いつもそこで実施されているわけでない以上、決して絶対的なものとは言えない。
ただし、いかに移動(する)オービスとは言え、いつでもどこでも取り締まりを行えるというわけでない。警察も当然、取り締まり効率を上げたいわけだから、「それなりの交通量がある」、「スピードが出やすい」、「電源がとれる」等、やりやすい場所が選ばれるということは言うまでもない。となれば、ピンポイントでは限定できなくても自ずとエリアくらいなら絞り込める。「過去に取り締まりが実施された」場所であっても、かなり有効な情報と言えるし、今後、情報が増えれば増えるほど、事前に対処できる可能性があがるというもの。
もちろん、最新のレーザー式オービスに関しては、アメリカのドップラー効果を利用したレーザーによる取り締まりと違って、国内のそれは3Dレーザースキャンを使用しているだけに、各メーカーとも開発に苦労しているようだが、いずれはレーザー波を探知する正真正銘のレーザー探知機がデビューするはず。位置情報による警報と併せれば、より強力な武器になることは間違いない。
各エーカーの開発力に期待しよう!