東京オートサロン2019のレイズ・ブースには、トヨタ・プリウスのレーシングカー、TOYOTA GR PRIUS apr GTが展示されている。モータースポーツに精通するジャーナリスト、世良耕太が解説する。
TEXT &PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)
東8にあるTOYOTA GAZOO Racingのブースでは2020年のスーパーGT GT500クラスに参戦する車両(GRスープラ・スーパーGTコンセプト)が発表されたが、西2にあるレイズのブースでは、aprが2019年のスーパーGT GT300クラスで走らせるTOYOTA GR PRIUS apr GTが発表された。
ベース車両は最新のプリウスPHVだ(が、GR PRIUS apr GTはプラグインハイブリッドではない)。aprは2018年までプリウス(ZVW50型)をベースにした車両を走らせていた。この車両はエンジンを車両ミッドに搭載していた。2019年シーズンからミッドシップが事実上禁止されるのにともない、フロントにエンジンを搭載する車両の開発に迫られ、対応したというわけだ。
ドアの前方に覗くテールパイプ出口が、フロントエンジンであることを示している。言うまでもなく(?)、ホイールはレイズ製。
センターロックのホイールナットが凝っている。
テールパイプ出口には、規則で義務づけられている三元触媒が取り付けられている。
単純に、格好いいレーシングカーだ。
リヤウイングはスワンネック式。全幅は1950mm(全長は4650mm、全高は1130mm)もあり、そのせいか、それとも空力的な効果を狙ってか、リヤタイヤはリヤのバンパー部からはみ出している。
ダッシュボードに置いてあったスペック表を確認すると、搭載しているエンジンは「TOYOTA V8(TRDレーシングエンジン)」で、排気量は「5.4ℓ」であることがわかる。5.4ℓV8と聞いて思い浮かぶのは、FIA GT3車両のレクサスRCF GT3だ。
2018年までは、レース専用に開発されたRV8K型、3.4ℓV8自然吸気エンジンに電動コンポーネントを組み合わせていた。つまりハイブリッドである。2019年のGR PRIUS apr GTが搭載するのは、2UR-GSE型をベースに排気量を5.0ℓから5.4ℓに増やし、ドライサンプ化やクローズドデッキ化するなど、レース向けの仕様変更を行なったユニットがベースだろう。
この5.4ℓV8エンジン、2018年までのRV8Kと違って量産エンジンに一般的なクロスプレーン・クランクシャフトなので(RV8Kのようなシングルプレーンではない)、ドロドロっとした、低く、脈動感のあるエキゾーストノートが特徴。果たしてどのようなサウンドを響かせてくれるだろうか。
イメージをふくらませるために、2018年のデイトナ24時間で筆者が撮影した、RCF GT3の5.4ℓV8自然吸気エンジンを載せておこう。