日立オートモティブシステムズは、自動車の走行中に道路上の凹凸や小さな落下物などの細かな路面形状を高精度に検知できる車載用ステレオカメラ向けの技術を開発したと発表した。
自動車が凹凸などのある路面を走行すると運転の快適性が損なわれるばかりでなく、挙動が不安定になり、自動車の安全性にも影響する可能性がある。このため、路面形状に応じて走行の安定性をコントロールできる走行制御システムの実用化が求められている。こうしたなか、日立オートモティブシステムズは、このような走行制御システムを実現するための検知機能として必要とされる、細かな路面形状を高精度に検知できる技術の開発に取り組んできた。
日立オートモティブシステムズの車載用ステレオカメラは、左右に備えたふたつのカメラで取得した画像の差異である視差情報を、高精度に算出することで、前方を走る自動車や歩行者、物体との距離、位置などを高精度にセンシングすることが可能だ。しかし、道路上の凹凸や小さな落下物などの細かな路面形状を検知するには、路面の汚れや影の誤検知を防ぎ、検知するための処理時間を短縮することが課題となっていた。
そこで、日立オートモティブシステムズは、日立製作所 研究開発グループおよび日立グループの北米地域統括会社である日立アメリカ社のAutomotive Products Research Laboratoryと共同で、これらの課題に対応可能なアプリケーションを開発した。具体的には、視差を常時、高精度に捉えることができる日立オートモティブシステムズのステレオカメラの特長を生かし、さらに画像情報を組み合わせて解析することで、短い処理時間で路面の凹凸と汚れや影を区別できるようになり、高精度に細かな路面形状を検知することを可能とした。
日立オートモティブシステムズでは今後、この技術とサスペンションを連携させることで、路面形状に応じて走行の安定性をコントロールできる走行制御システムを開発する予定だ。