パナメーラとシューティングブレークのスポーツツーリスモに最上位グレードとの中間を埋めるスポーティなグレードとなるGTSが追加された。460㎰を発生する4.0ℓV8ツインターボを搭載し、0→100㎞/hは4.1秒を誇る俊足サルーンのGTS両モデルをサーキットで存分に堪能した。
REPORT◎山崎元裕(YAMAZAKI Motohiro)
PHOTO◎Porsche AG
ポルシェ・パナメーラ&スポーツツーリスモのラインナップに、新たに「GTS」が追加設定されることになった。904カレラGTSを始祖とする伝統の称号を受け継ぎ、これまではパナメーラでも自然吸気モデルの最強版としてカスタマーから好評を博してきたGTSだが、現行パナメーラに新設定されたGTSは、460㎰の最高出力と620Nmの最大トルクを発揮する、4.0ℓのV型8気筒ツインターボエンジンに8速ATを組み合わせて搭載。
駆動方式は電子制御マルチプレートクラッチによるアクティブ4WDシステムでPTM(ポルシェ・トラクションマネージメント)を採用する。参考までに燃費性能は、サルーンで10.3ℓ/100㎞。同様に最高速は292㎞/hと発表されている。
エクステリアやインテリアでも、GTSには独自のディテールが与えられている。エクステリアではスポーツパッケージが標準装備となるほか、前後のバンパーやサイドステップ、テールエンドに備わるポルシェのレタリングなどはスポーティなブラックを採用。前後のホイールは20インチがスタンダードサイズだが、オプションでは21インチを選択することもできる。
インテリアもGTSのキャラクターを主張するかのように、実にスポーティで魅力的なフィニッシュだ。ポルシェ・アドバンスドコクピットを採用するほか、ポルシェ・コミュニケーションマネージメントやポルシェコネクトプラスなどの最新装備はそのまま継承。さらにヘッドアップディスプレイも、このGTSから標準化されることになった。
視覚的には、個人的によりスポーティなスタイルに思えるのはスポーツツーリスモの方だが、走りはサルーンボディの方がやや魅力的だ。その印象を特に決定づけているのは、3チャンバー式エアサスペンションによる乗り心地で、スポーツツーリスモは低速域では、若干タイヤの動きに重さを感じるような場面があった。
そのような印象を一切感じさせずに、常に滑らかな乗り心地と素晴らしいスタビリティを両立させているのがサルーンモデルのサスペンションである。
今回のプログラムでは、かつてF1GPも開催されたバーレーン・インターナショナル・サーキットでの試乗も含まれていたが、ここで感じることのできたナチュラルなハンドリング、そしてドライウエイトで2tに迫る重量を意識させない走りは、ポルシェが満を持してパナメーラのラインナップに追加したモデルだけのことはある。
パナメーラには、2タイプのPHVを含め、幅広い選択肢がある。このGTSはその中でも、とりわけシンプルにドライビング・ファンを楽しみたい、というカスタマーのためにあるモデルと評してよいだろう。
※本記事は『GENROQ』2019年1月号の記事を再編集・再構成したものです。
ポルシェ・パナメーラGTS〈パナメーラGTSスポーツツーリスモ〉
■ボディサイズ:全長5053×全幅1937×全高1417〈1422〉㎜ホイールベース:2950㎜■車両重量:1995〈2025〉㎏■エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ総排気量:3996㏄最高出力:338kW(460㎰)/6000〜6500rpm最大トルク:620Nm(63.2㎏m)/1800〜4500rpm■トランスミッション:8速DCT■駆動方式:AWD■サスペンション形式:ⒻダブルウイッシュボーンⓇマルチリンク■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク■タイヤサイズ(リム幅):Ⓕ275/40ZR20(9.5J)Ⓡ315/35ZR20(11.5J)■パフォーマンス最高速度:292〈289〉㎞/h0→100㎞/h加速:4.1秒■環境性能(EU複合モード)燃料消費率:10.3〈10.6〉ℓ/100㎞CO2排出量:235〈242〉g/㎞