レンタカーを借りたとき、会社の営業者に乗っているとき、久しぶりに実家のクルマを走らせたとき、給油しなければならないことになった。さてこのクルマ、給油口は左右どっちについているんだ?
自動車雑誌の編集なんて仕事をしていると、それこそ毎日クルマが違うなんてことも大袈裟ではない。しかしわれわれはどんなクルマを預かろうとも、ガソリンスタンドで左右どちらに給油口があるかを迷うことはない。
乗る前にきちんと把握しているから。サイドミラーから見て取っているから。走行中に風景に映り込む自車の姿から瞬時に記憶するから。ガソリンスタンドの店員さんの秘密の誘導を業界で共有しているから──もちろんいずれでもない。実に簡単なことで、メータに描かれているのだ。
現代のクルマなら、ほぼ間違いなく記されているはず。給油機アイコンの左右いずれかに◀▶︎が描かれていて、それがいま乗っているクルマの給油口の位置である。
左側ばっかりじゃないかと思われるかもしれないので、日本ではやや珍しい右側もご紹介しよう。ガソリンスタンドで行列しているとき、右サイド給油機は未使用──なんてシーンに遭遇したことがある方もいらっしゃるだろう。
さて、ここで終わらないのがMotorFan.jp。じゃあなぜ右だの左だのがあるのか。どうやって決まっているのか。
その理由はマフラーエンド。給油口と逆サイドにしているのだ。もちろん給油中はエンジンオフにして排気口から排ガスは出ていないけど、直前まで高温のガスを吹き出していた箇所ということもあるのだろう、念のために遠いところに設置するというのが習わしだった。
じゃあ両側についているクルマはどうなんだ。はい、きっと訊かれると思いました。とくに最近のドイツ車などは両側にリヤバンパー一体型のマフラーエンドをデザインしているケースが多く、そうなると先述の「給油口と逆サイドのマフラーエンド」の理屈は成り立ちにくくなる。
確実にこう、とならないのが心苦しいのだが、その場合は別なグレードや初期型などをたどってみると理由がわかるケースがある。もともとはこっちだったけどバリエーションができてこうなった、マイチェンで変更になった、なんていうことが判明することも。
とはいえ、最近はもともと両側エンドで設計しているクルマ、センター出しがデフォルトなんてクルマも多くなってきた。燃焼効率が高くなり後処理装置の数々を経ていることでエンドガスの温度が下がったからそんなにシビアじゃなくなった、なんてこともあるのだろうか。いずれにせよ、本稿の目的「ガソリンスタンドで給油口がどっちにあるかがすぐにわかる」ことと直接は関係ないので、そのあたりはどうぞご容赦を。