2018年の撤去オービスは、全23機。昨年比-22機と約50%減となっている。果たしてここ数年続いていた、いわゆるオービス撤去の嵐は、とりあえず沈静化したのか、さっそく検証してみよう。
関連各省庁の、いろんな事情があるのだ!
警察の固定式オービスによる速度取り締まりに関する全面的な見直しが始まったのは、数年前。速度違反の全検挙数のわずか3%までに落ち込んでしまった検挙率も、その理由だ。事実、その見直しに沿って、100機以上の固定オービスが撤去され、一時は620機を超えた設置総数も、いまや520機となっている。いまのところ、耐用年数を超えた旧型のレーダー式やループコイル式、そして製造メーカーの撤退(三菱電機)により、一時は総数の半分以上を占めたHシステムが撤去の主な対象となっているが、ここへ来て、その撤去ペースが鈍っているというのも事実だ。
その理由として考えられるのが、まず、撤去費用。オービスというのは高速道路と国道に設置する際、その費用は国の負担となるが、実は、撤去費用は各都道府県の負担。機器代を除いた設置費用は数百万円と言われているが、たぶん、撤去にも同じくらいのコストがかかるはずだ。特に財政難にあえいでいる地方自治体にとっては、一気に予算を計上するというのは難しい話。特に設置数が70機を超える北海道や東京都、オービス銀座と呼ばれる路線を抱える愛知県や兵庫県などで、思うように撤去が進まないというのもうなずける。
また、オービス自体の抑止力も捨てがたい。ご存じのとおり、オービスによる取り締まりエリアには本体だけではなく、事前の予告板も設置されている。例え、本体が耐用限界を超え、半ばダミー化していたとしても、そこにあるだけでドライバーに対して抑止力を発揮してくれるのだ。つまり、いずれは撤去するにしても、早急に撤去する必要さえなければ、残しておいたほうがいいという考えもある。事実、秋田県警のようにレーダーのカバーだけ残して、抑止力を発揮させているところもあるくらいだ。
というわけで、当分、固定オービスの撤去は遅かれ早かれ進んでいくことには間違いない。もちろん、撤去一辺倒ではなく、チラホラと新規オービスも出現している以上、警察が固定オービスを見捨てたわけではなく、逆に、固定オービスと移動オービスの合わせ技で検挙率を上げるという戦略を進めているということがわかるはず。東京オリンピックの年、2020年までに「交通事故死者を2,500人以下にする」という命題に向け、警察がどんな手を打ってくるのか、見守っていきたい。