ジェイテクトは、11月7日に「円すいころ軸受の超低トルク化技術」で、平成30年度近畿地方発明表彰の「奈良県発明協会会長賞」を受賞した。
近年の地球温暖化問題などにより、自動車に対する低燃費化や省エネルギー化への要求が高まっている。このような情勢の中、自動車1台当たりに100個以上使われている転がり軸受に対してもさらなる高効率化、すなわち低トルク化への期待が高まっている。
ジェイテクトは自動車や産業機械で数多く使われている円すいころ軸受に着目し、コンパクトで長寿命、高剛性という円すいころ軸受の特長を保持したまま摩擦トルクを画期的に低減する技術を考案し、実用化した。
今回の発明「円すいころ軸受の超低トルク化技術」は、(1)内部諸元(ころの数、長さ、直径、接触角、軌道形状)の最適化による転がり粘性抵抗の低減技術(図1)と(2)潤滑油の流れ制御によるかくはん抵抗の低減技術(図2)によって構成されている。これらの軸受設計技術を適用することにより、標準軸受に対して50%の低トルク化が可能となった。
さらに、長寿命熱処理の適用による小型化技術を本発明技術と併用することによって、標準軸受に対して80%の低トルク化を実現した。これらの技術が適用された円すいころ軸受を自動車のデファレンシャルギヤ装置のドライブピニオン支持部に使用した場合、NEDCモードにおいて1.5~2%の燃費改善効果と3.5~4.5g/kmのCO2排出量の削減効果が期待できる。
本発明を備えた超低トルク円すいころ軸受LFT-Ⅲは2007年より国内外の自動車メーカー向けに量産されている。