東レは、11月20日、植物由来原料をポリエステルとポリウレタンの一部に使用することで、世界最高水準となる約30%の植物由来原料比率を実現したスエード調人工皮革 「Ultrasuede BX」(ウルトラスエード ビーエックス)を開発し、2019年1月に発売すると発表した。部分植物由来のポリウレタンを使用したスエード調人工皮革は、本製品が世界で初めてだ。
これまで、植物由来原料を使用したポリウレタンは、耐久性が低くなるなど物性面・風合い面の課題があり、スエード調人工皮革用途に用いることが出来なかった。これに対して東レは、独自のポリマーから素材構造までの設計技術と、ポリウレタンの凝固技術により、高い植物由来原料比率と、良好な質感や高い耐久性、通気性、イージーケア性などの機能性を合わせ持つ「Ultrasuede BX」の開発に成功した。
ウルトラスエード BXに採用している植物由来のポリカーボネートジオール(PCD)は、三菱ケミカルが開発したもので、「BENEBiOL」である。「BENEBiOL」は、2015年4月に三菱ケミカルが上市した世界初の植物由来PCDだ。非可食のひまし油から得られる特殊な原料を使用することで、従来のPCDを用いた場合と比べて、ポリウレタン樹脂に優れた風合い、柔軟性、強度を付与することができる。
Ultrasuedeは、東レの先端テクノロジーによる多彩な商品群を特長とするジャパン・クオリティの先端素材として、グローバルに展開するスエード調人工皮革である。1970年の開発以来、技術革新を繰り返し、ファッションやインテリアのみならず、自動車や航空機の内装、スポーツギア、スマートフォン、モバイル機器のアクセサリーなど、最先端のアプリケーションに対応する高感性・高機能マテリアルとして採用が広がっている。
また、環境に配慮したサステナブルな製品開発にも注力しており、2016年から植物由来ポリエステルを使用した「Ultrasuede PX」(ウルトラスエード ピーエックス)を展開している。今回、「Ultrasuede BX」をラインナップに加えることで、サステナビリティとクリエーションの両方を実現するスエード調人工皮革の展開をさらに拡大する。