中国名ティアナ改め、アルティマ登場。発表会の席上でワールドカーを明言して改名したモデルだが、そのスタイリングはなかなか。もちろん日本でも人気のトヨタ・カムリを射程距離におくだけあって早期の日本投入も望まれるモデルだ。
北米と中国のニーズは、とりわけサイズ感という点でも比較的合致する部分がある。その証拠に、中国内ではフォードの大きなピックアップが走っていたりする。そんななか登場したのが、アルティマだ。もちろん今となっては、それほど大きなサイズというわけではなく、十分に日本で通用するモデルだと思うが。
中国人にとっても聞きなれないこの名前、その実は中国で六代続いたティアナの後継モデルとして位置付けられる。日本では早くして販売が断たれてしまったモデルだが、ここ中国は根強い人気を保っていた。ここ中国では日本と異なり、一定数のセダン人気があるということで、羨ましい限り。発表に当たっては、中国プレスからも大注目となっていた。
話題となっているのは、当然初採用となったVCターボエンジン。可変圧縮比エンジンということで、こちら中国仕様でも圧縮比を8:1から14:1までシームレスに変化させることができる。しかし排気量は北米の2.5ℓと2.0ℓであるのに対して、当初は2.0ℓのみの模様。
上死点を変化させることに伴ってシリンダー容量も変わる構造となっていることから、排気量も1997ccから1970ccへと変化する。
デザインは先に発表された日産Vモーション2.0コンセプトを具現化したもので、ブーメランスタイルのLEDヘッドライトの採用など、新しい日産セダンフェースを持つ。さらに特徴となるのがフローティングルーフで、Cピラーにアクセントを与えることで、軽快で安定感のあるサイドビューを実現している。
日産はすでにこのフローティングルーフを採用しているが、単にCピラーをブラックアウトしてルーフを浮かせて見せるだけではない。リヤドアからの造形によってウインドウを小さく見せながらも、リヤシート室内からも包まれるような安心感をも実現。
さらには、全体を低く見せる効果もある上、長いリヤウインドウによって空気抵抗の低減も視野に収めている。特にセダンにとっては、メリットの大きな手法といえるのではないだろうか。
インテリアも魅力的で、とにかくシンプルなのはモダンリビングをアピールした初代ティアナをも想わせるものだ。またシートには、日産独自の3Dマルチレイヤードのゼログラビティシートも採用。
さらに安全装備・快適装備としては、最新のプロパロットを採用した。中国市場にとってはこのアルティマが初導入となった。
インフィニティも含めて、日産ブランドは隣国には多くの人気モデルを投入しているが、それらがお膝元の日本にないのが長らくの現実。それこそ世界ではダットサン・ブランドまで復活しているので、日産の素顔を一番知らないのは日本ということになる。それはともかく、少なくともアルティマだけでも、早期導入をお願いしたいところだ。なにしろ、これだけかっこいいのだから。