イタリアのミラノで開催中のEICMA2018(ミラノショー)で、キムコ(本社:台湾)はEVスーパースポーツモデル「Super NEX(スーパーネックス)」を展示。電動モーター、6速マニュアルトランスミッション、スリッパークラッチなどの組み合わせにより、操る楽しみをトコトン追求しているのがポイントだ。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
『残念なことに、多くの電気バイクからはマニュアルミッションが消え、楽しむ要素が失われています。私たちは、このような“バイクの芸術”を取り戻したいと思っています(キムコ)』
今回、台湾のバイクメーカー・キムコが発表した生粋のEVスーパースポーツ「Super NEX(スーパーネックス)」は、ライダーがスーパースポーツに求める重要な要素を洞察し、そこから得た設計哲学によって魅力ある電動バイクとして開発されたモデルだ。
「Super NEX(スーパーネックス)」の最大の特徴は、スポーティな外装類に加え、電動モーターに6速マニュアルトランスミッションやスリッパークラッチを組み合わせていること。利便性や経済性よりも、オートバイを操る楽しみを追求しているのが、既存の電動バイクとの大きな違いといえよう。
通常、電動モーターは「低中回転域での出力が高い」という特性を持っている。そのため、一般的にこれまでのシングルギアタイプのEVスポーツでは、スタート加速こそ強力なものの、高速域での加速力、また最高速においてライダーが満足できないという点が指摘されていた。
一般的に電気モーターは、ミッドレンジ以降で馬力は減少する。その結果、単一の歯車の電動バイクは、一定の速度に達すると、加速力が鈍る傾向にある。
一方、この「Super NEX」には、電動モーターに6速マニュアルトランスミッションを組み合わせることで、モーターのパワーバンドを最大限活用し、優れた加速性能とトップスピードを実現。
同社によれば、0-100km/hを2.9秒、0-200km/hを7.5秒、そして0-250km/hを10.9秒で到達するポテンシャルを秘めている。
「Super NEX」は機能も充実。「KYMCO FEP(フルエンゲージメントパフォーマンス)」は、加速時のウイリー抑制、リヤホイールリフティングの抑制、滑りやすい路面でのトラクション性能向上を実現。
パワーモードは4種類をスタンバイ。市街地での静かな走行からサーキット走行まで、走行環境に応じたモードの選択が可能だ。
搭載される電動モーターは、キムコ独自の「アクティブ・アコースティック・モーター」を採用。回転数に応じて高まるモーターの駆動音により、ライダーとマシンの一体感を高めてくれる。走行サウンドにもこだわり抜いている点も、“スーパースポーツモデル”を掲げるキムコの姿勢が伺える。