オービスによる速度取り締まり対象は非反則行為(赤切符)に限るという常識(?)を根底から覆した、可搬式移動オービス。従来のネズミ捕りと同様に、反則行為(青切符)でももれなく撮影し、後日検挙しているということは既報のとおりだが、では、一体、何km/hオーバーすると撮影されるのか、その実態を探ってみよう。
今のところ、速度取り締まりでの超過速度15km/h未満の検挙率は、なんと1/10,000以下、だが…
平成29年度の、道路交通違反取り締まり件数は、6,482.542件。その内、最高速度違反は1,478,281件と、総数の22%以上を占め、堂々のトップとなっている(ちなみに、第2位は一時不停止)。
では、みんな一体、何km/hの速度超過で検挙されているのかというと、99%以上が15km/hオーバー以上となり、それ以下はなんと、0.01%(1/10,000)にも満たない。しかもこの比率は、可搬式移動オービスがまだ試験運用されていた平成28年とさほど変っていない。となれば、答は自ずと見えてくるというもの。例え最先端の移動オービスによる取り締まりとはいえど、15km/hオーバー未満で捕まることはほとんどない、と今のところは考えていいだろう。事実、この春に愛知県でとあるドライバーがレーザー式移動オービスの餌食になったケースでも、その超過速度は15km/hであり、当情報局にもそれ以下の報告は入ってきていない。
ただし、ここのところ、年々、速度取り締まり件数が減少している(平成25年から昨年まで50万件の減少)という事実と、生活道路の制限速度の設定を併せ見ると、もしかしたら検挙スピードを下げてくる可能性がないわけではない。確かに60km/h制限道路での15km/hオーバーは25%の超過であるのに対し、30km/h制限道路では50%となり、その危険度は遙かに高い。
事実、警察の言い分は「1km/h超過でも違反は違反」であり、また、諸外国では例えば5~10km/hオーバーでの検挙が日常茶飯事となっている。もちろん、国内でも15km/h未満での検挙がないわけではない。「反則金ノルマ」等、警察の予算的に問題含みな昨今、検挙速度を下げる可能性は十分に考えられる。ただし逆に、あまり検挙件数を上げると、司法システムがパンクしかねない。
生活道路が中心となる可搬式移動オービスの取締り現場の状況はまさに千差万別。「ほんの数km/h」でも取り締まるべき現場もあるかもしれない。
警察はこの混沌とした状況で、どこに妥協点を見つけるのか、興味津々だ。